ロールキャベツの唯一の難点は、煮込んだキャベツから出る臭みと苦味。
「孤独のグルメ Season8」第3話に出た銀座のバーのロールキャベツは、その臭みと苦味が微塵も感じられず驚きました。完璧と言ってもいいロールキャベツです。
井之頭五郎が言っていたように、スープは甘い。
ヨーグルトからくる甘さなのでしょうか、この甘さと柔らかな酸味とのバランスが絶妙で、溢れんばかりのうま味があとから追っかけてきます。
そしてこのスープのうま味をたっぷり含んだキャベツと肉の塊の大きいこと。男の握り拳ほどの大きさのものが2個もあり、ナイフで輪切りにしてスプーンに乗せてもひと口では食べられません。これだけでお腹いっぱいになりそうです。
これにつく脇役が、ご飯と味噌汁と膾(なます)。
とても洋食のお供とは思えない組み合わせですが、味噌汁は煮干しでだしを取っている本物。
今回は大きな豆腐がわかめとともに入っていました。
膾は井之頭五郎が言うほど洋風ではなく、ツンとくる酸味がない、甘さがしっかりしていておいしいもの。これならもっと食べられます。
不思議な組み合わせではありますが、ここでは確立されたものとしてずっと提供されているようです。
この店があるのは銀座のはずれ。
昔から高度に土地利用がなされてきたイメージのある銀座にも、ビルの谷間に細い路地があることを今回初めて知りました。
その路地の両側に、ひしめくように並ぶ店の間にある、地下への階段。
「昼食堂」の看板が出ているとはいえ、知らなければ怖くて絶対に降りては行けません。
私が着いたのは11:30。
最初の客でしたから、井之頭五郎が座った場所に座らせてもらいました。
そして10分ほど待ってる間に常連らしき初老の男性が登場。
さらにロールキャベツを食べているとまた常連の少し若い女性がやってきてマダムと楽しそうに話をしています。
「孤独のグルメ」で放送されてからまだ1年しかたっていませんから、もっと一見の客がわんさか押し寄せてきてもよさそうですが、いかにもテレビ見て来ましたというのは私と、このあとの4番目の客だけでした。
それだけ入りにくいのか、それともランチのメニューがロールキャベツしかないことが敬遠されているのか。しかしそれゆえに常連を中心とした温かい雰囲気があって好感がもてました。
唯一無二のロールキャベツといい、狭いながらも温かな店の雰囲気といい、ここはほんとに通いたくなる店でした。
みなさんもよかったら勇気を出して地下に潜ってみませんか。
おいしさは保証しますので。
「四馬路」(銀座・バー)
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13170099/