こないだ、女子大生と話してて「クォーツってなんですか?」と聞かれ、大きなショックを受けました。
かつて正確な時計の代名詞といえばクォーツ。
学生時代、御徒町のディスカウントストアに派遣され、カシオの時計を売るアルバイトをしていたとき、安い880円の腕時計でもクォーツが入っていて、けっこう売れたもの。売上は一日平均10万円もありました。
私が雇われていたのはカシオの新宿営業所。仕事終わりに担当の若い社員ふたりに連れられ、新宿南口のきたない居酒屋で卒業後の入社を誘われたりしましたっけ。
その、きたない居酒屋が数十年たったいまも存在することにきょう気づき、腰が抜けそうになりました。しかも当時と同じきたなさで。
今回訪れたのはその隣にある牛丼の店。
牛丼といえばいまや3社の寡占状態で、個人経営はおろか中規模チェーンもことごとく消滅。代々木にあった「牛丼太郎」も消えてしまいました。
この店もかつては数店を展開するチェーンだったようですが、いまやこの店だけのよう。
しかし店は13時半だというのに大混雑。くさび形のカウンターが埋まり、次から次へと客が入れ替わります。
牛丼360円、かつ丼460円の安さが客を引きつけるのでしょう。
一応住所は新宿三丁目。このエリアにあってこの値段で一食を済ませられるのですから非常に優秀です。
私が頼んだのは「かつ牛丼」。
560円もする店の最高級メニューは、かつ丼と牛丼がいっぺんに味わえるという夢の一品です。
しかも、かつ丼単品にプラス100円だけという超おトクプライス。
これに「定食」という名の味噌汁・お新香つきセット(+100円)を注文すれば、周囲の羨望の眼差しを一身に浴びます(ウソ)。
あとで注文した別の客のかつ丼単品に遅れること5分。やってきた最高級メニューは予想以上においしそう。
たしかに半分は牛丼なのですが、カツの卵とじはその下に隠れるように控えめです。
さっそくカツ丼のほうから食べてみると、カツはちょっとガリっとした食感。
まあ作り置きなのでしょう。でも薄めのカツにはまんべんなく出汁が染み込ませてあり、温かくなっています。そして甘じょっぱさも適度。
卵の火加減もよく、とろっとしていてこの値段なら文句を言う人はいないでしょう。
そして牛丼。
特徴は豆腐がついてること。そして玉ねぎがほとんど見当たらないこと。
すき焼き丼のようでもあり、味もやや甘めで濃いめ。驚いたのは、肉の量がけっこう多いこと。吉野家では半分近くが玉ねぎではないかと思うのに、この店のは正味で「アタマの大盛り」くらいある感じです。
これは客が多いわけです。食べログ3.49はダテじゃありません。
決して立派な店のかつ丼と戦えるようなものではありませんが、ワンコインとちょっとでこの量と質は驚き。
牛肉とカツの卵とじに比べてご飯の量は相対的に少ないので、100円プラスでご飯大盛りにしてもいいかもしれません。
チェーン店は仕入れ量が桁違いに多く、セントラルキッチンでコスト的にも有利。
そうした巨大企業に負けずに頑張っている小さな店。
こういう店こそ応援していきたいと思います。
男ばっかりしかいない店ですが、みなさんもぜひ。
「たつ屋」(新宿・牛丼)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13025431/