静岡県に行かないと食べられないハンバーグです。
牛肉100%のほぼまんまるの肉の塊が熱い鉄板の上に乗ってやってきて、スタッフがそれを半分に切って断面を鉄板に押しつける。
するとジューっという音とともにしぶきが飛び散るので、客は敷かれた紙を両手で持ち、落ち着くまで待つのです。
肉の質は豪州産で正直、そうたいしたものではありません。しかし牛肉100%で250gもあり、単品だと1,100円(税込)。さらに平日ランチだとライス/パンとスープがつくセットで1,210円ですからたしかにかなり安いと言えるでしょう。
これが静岡の「さわやか」が提供する「げんこつハンバーグ」。
静岡県内だけで34店舗を展開する、県民ならば知らない者はないというほどの地場レストランチェーン。
御殿場プレミアムアウトレットにある店では3時間待ちもあるというほどの人気を誇ります。
しかしそれだけ客が呼べるのならば、全国展開すればいいと思うのが普通。かつて福岡・中洲にあった1店舗だけのステーキレストランが全国展開してロイヤルホストになったように。
しかしこのレストランは創業以来、頑なに県内だけにこだわっています。
たぶんそれは正しい戦略。
静岡の地価と静岡の人件費だからこの価格が実現できてるのであって、東京に攻め込めば価格を上げざるを得ず勝負できるかどうか。
それよりも「静岡にしかない」ことで静岡県民のプライドをくすぐり、熱い支持を集め、一方で他の県民に対して飢餓感をあおって集客に結びつけるという戦略は身の丈にあったものだと思います。
さて、県民から熱い支持を受け続けるげんこつハンバーグですが、味の秘訣は甘くてややしょっぱいオニオンソース。
デミグラスソースも選べますが、周囲を見ても圧倒的にオニオン派。今回、両方とって食べ比べてみましたが、たしかにオニオンのほうが合いました。
普通は問答無用でソースをかけられてしまうのですが、これを断り塩胡椒で食べてみることもでき、さらに追加でわさびも選べていろいろ楽しめました。
そのほか、「焼き野菜カレー」単品を追加で。スパイシーさは不足気味ですがかぼちゃや茄子、トマトなどたっぷり入って506円というのもお手頃価格です。
価格はファミレス、しかし専門店のような気分。それがこの店の「げんこつハンバーグ」の最大の強みでしょう。
静岡に行ったら食べてみるべき一品だと思います。県の東部の店よりも、西部の店の方が混雑せずに入りやすそうです。
「さわやか 袋井本店」(静岡袋井・ハンバーグ)
https://tabelog.com/shizuoka/A2202/A220202/22000394/