くぅぅ、牡蠣バターはまだだった…。
牡蠣といえば私のなかではこの店。
「カキのバターソテー」という名のこの店のメニューでは、でっかい牡蠣がこんがりと炒められ、上にも追加のバターが。
ぷりっぷりの食感に醤油とバターのこってりとした風味と香ばしさがよく合い、ご飯が進む魔法のような逸品でした。
すでに10月も折り返しをすぎ、当然に牡蠣があるだろうと思って麹町からわざわざ歩いて来たのですが、まだでした。牡蠣が太るのを待っているのでしょうか。
しかし3日連続で麹町・四谷方面の人気店を攻めてみましたが、驚いたのはどこも行列がなかったこと。正午だというのに「青山からす亭」は空席が目立ち、「プティフ・ア・ラ・カンパーニュ」も行列なし。
この店は14時近くだったとはいえ、客はなんと私だけ。びっくりしました。普通なら4、5人の行列があるものなのに。
やはりコロナ禍によって在宅勤務が広まり都心の昼間人口が減った上に、テイクアウトを利用するひとも増えたことで人気店の行列が減っているようです。
あえていい意味でとるなら、いまこそ人気店を食べ歩くチャンスでしょうか。
しかし心と胃袋が完全に牡蠣になっていた私にとってはショック大きい。
代わりに何を食べるべきか…。
5分以上はメニューとにらめっこしていたはずです。
四谷の名店「エリーゼ」の「ビーフトマト」の伝統を受け継ぐ「トマトのビーフ」は以前食べたし、
みっしり肉が詰まったハンバーグが乗った「バーグカレー」はボリューム満点でお得だったけどちょっときょうは気分じゃないし…。
悩んで選んだのは「レモンガーリックソースのポークソテー」でした。
よそにないレモンとにんにくの組み合わせがどんなものなのか、試してみようと思ったのです。
注文を受け、チラッとこちらに視線を向けた寡黙なご主人が作ること10分。
黄色が鮮やかなポークソテーが出てきました。
フォークで切るのももどかしく、さっそく口に入れると口いっぱいに広がる酸味。ドレッシングのようでいてコクがあるのはにんにくのせいでしょうか。これはおいしい。
肉のほうはやや薄めですがみっしりとしていい肉です。ちょっと下味の塩がキツいかなと思いますが、プラス50円で頼んでおいた山盛りご飯を消化するにはちょうどいい。
酸味はご飯を食べるにはどうだろう…と思っていましたが相性よく、まさにニッポンの洋食として素晴らしい逸品に仕上がっていました。
ただこの味どっかで経験したことが…と思ってずっと考えていましたが、この文章を書くために昔の写真をクラウドから引っ張り出してやっと気づきました。
去年の9月、これ食ってた…。
オムライスからカレーからハンバーグまでたくさんのメニューがあるなかでどうしてまた同じものを頼んでしまうのか。
気づいたら同じ本を2冊買ってたりしますから、同じ人間は毎回、同じ思考回路で判断するということなのでしょう。
しかし後悔はありません。おいしかったから。
次また「カキのバターソテー」が出たら必ず食べに行こうと思います。
みなさんもこの牡蠣を味わってみてください。
「キッチンたか」(四谷三丁目・洋食)
https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130903/13130525/