秋田の郷土料理「くじらかやき」です。
鯨の脂身を塩漬けにした、いわゆる「塩鯨」を短冊状に切り、同じく短冊状に切った茄子と一緒に味噌で煮込んだもの。
鯨の脂身から出る濃厚なうま味のあるだしが茄子に吸い込まれ、また味噌との調和もすばらしくとてもおいしく食べられました。秋田の夏の料理だそうです。
かやき、の名は「貝焼き」から来たとのこと。貝殻の上に具を乗せて火にかけて作る小さな鍋ものだったことからその名がきているそうです。
この「くじらかやき」に似た料理は、東北から北陸にかけて存在します。いずれも夏の料理。塩鯨に茄子か冬瓜がマストアイテムで、保存のきく塩鯨でスタミナをつけ、夏の農作業を乗り切ろうというものです。(北海道の鯨汁とは別メニュー)
保存がきき、栄養たっぷりでいいだしが出る塩鯨は、日本海側の人々にとって重宝な存在だったのでしょう。
この店のある能代市には、五能線に乗るためにやってきました。
能代線は、北上山地の外周にある手つかずの海岸線を走るローカル線。
その美しい風景を一度見たくてやってきたのです。「リゾートしらかみ」のボックス席を独り占めして見る景色は、予想以上に美しく、わざわざ来た甲斐がありました。
さて、「くじらかやき」または「鯨汁」の素材である塩鯨はどこから来るのか。
日本海側には現在、捕鯨基地はありません。
秋田のスーパーで見つけた塩鯨には【千葉産】と書いてありました。
千葉・房総半島の捕鯨基地・和田で水揚げされたものがわざわざ秋田まで運ばれてきているのです。
脂身はすべて東北や九州に送るんですと以前、捕鯨会社の社長に話を聞いてはいましたがまさか本当に秋田で、その脂身に出会えるとは思いませんでした。
秋田の料理といえば、きりたんぽやババヘラアイスはすでに有名になってしまいましたが、そのほかもなかなかユニーク。
能代だと「豚なんこつ」の唐揚げが有名だとか。
昭和40年代に、市内の精肉店が本来なら捨てる豚バラの軟骨を包丁で砕いて提供したのが始まりだそうで、実際に食べてみるとコリコリとした食感が楽しく、ビールのつまみとして最適です。
またこれは東北全般に言えるのですが、納豆が大好き。
この店でも納豆メニューがたくさんあるなかで選んだ「桧山納豆二色揚げ」は、昔ながらの藁で包んだ納豆を海苔と紫蘇でくるんで揚げたもの。パリッとした外側にしっとりした納豆のバランスが良く、おいしく食べられました。
四十七都道府県のなかで最後に残っていた秋田県は、噂通りに美人が多く、温泉もたくさんあっていいところでした。
またぜひ行きたいと思います。
みなさんもぜひ。
「やま久」(秋田能代・郷土料理)
https://tabelog.com/akita/A0503/A050301/5002549/