センター街のど真ん中、先に「三平酒寮」が入居したビルの1階と地下に、沖縄料理の「やんばる」がやってきました。
ふたつの店はともに新宿東口の、スタジオアルタと靖国通りの間に挟まれたエリアにある老舗。新宿の「やんばる」は、熊本ラーメンの「桂花」と同様、私が気づいたときにはもう存在していましたから、たぶん開店して25年はくだらないでしょう。
その老舗が、センター街のど真ん中への進出です。三平酒寮とのセットということもあり、まるで異次元空間が突如現れたかのよう。オレンジ色の看板が見事に浮いています。
しかし、料理はまさに「フツーの沖縄」。
沖縄の一般の人々が日常的に食べている料理そのままが、何の飾り気もなく出てきます。
「ソーキそば」は最初、880円と高く感じましたが出てきたものは豚の骨付き肉の塊が3つも乗り、まるでケンタッキーフライドチキンが3つ乗ってきているかのような食べごたえ。しっかり煮込まれていて軟骨まですべて食べられるのですが、肉質はしっかりとしていて歯ごたえがあります。たぶん圧力鍋で煮込んでいるのでしょう。ボリュームとともに質の面でも食べごたえがあります。
麺も特別なものではなく、平らな断面をもつ縮れ麺。長崎のちゃんぽんの麺と似た、ぷつん、と切れる独特の歯ごたえを持つ沖縄そば独特の麺です。スープも、とんこつベースの澄んだスープに鰹だしと醤油で味を整えたもの。特別に何かの風味を強調したものではなく、まさに平均的な沖縄そばのスープそのものです。
そのほか、これまで新宿の店で食べた「ポーク玉子定食」や「ラフティーそば」などをとってもても、すべて飾り気のない現地の味そのまま。特別においしいというわけではありませんが、この安心感は何物にも代えがたい、といった味。とくに沖縄出身者にはそう懐かしさがこみあげてくるはずです。
赤と黄色に塗り分けられた箸ひとつとってみても。
ところで、この文章を書くにあたって調べたところ、新宿の店ではランチタイム限定で「ちゃんぽん」が
あるとの情報がありました。
「ちゃんぽん」と聞くと当然、普通はあの太い麺を使った「長崎ちゃんぽん」を思い浮かべますが、沖縄で「ちゃんぽん」と言うとそれはご飯もの。
皿に盛られた白いごはんの上に、ポーク(ランチョンミート)入りの野菜炒めがどかっと乗せられた驚愕の一品なのです。
私も沖縄の”神の島”久高島で遭遇し、食べましたが最初は名前とその実体の乖離に圧倒され、なんとも不思議な感じで食べたのを覚えています。
さらに驚いたのは、現地のファミリーマートにも同じ「ちゃんぽん」が売られていたこと。
沖縄出身者でも知らない人が多い一方で、一部では深く深く浸透しているメニュー、それが「ちゃんぽん」の実態のようです。
そして、渋谷の「やんばる」にもこの驚愕メニュー「ちゃんぽん」は存在するのか。
もう一度訪れ、それを目と舌と写真で確かめてみたいものです。
「やんばる」(渋谷・沖縄料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13117786/