「餃子は、西に行くほど小さくなる」。
私が勝手に言ってる餃子の法則ですが、まさにその法則を地で行くかのような小さな餃子です。
長さわずか4cmほどでしょうか。箸でつまんで口に放り込んでビールをぐびっ。この繰り返しでひとりで20個は軽くいってしまいます。
むちっとしていながらつるんっという食感の皮に、ペースト状の肉を中心としたあっさりとした味の具。
福岡ではラー油ではなく柚子胡椒を餃子に付けて食べさせる店が多いのですが、この店のようなあっさり味の餃子ならではの組み合わせだと毎回納得してしまいます。
醤油に溶かしてもよし、直接たっぷりとつけてもよし。
いまでこそ柚子胡椒は東京のスーパーでも売られるようになりましたが、つい5年ほど前までは地元・九州でもそうめんのつゆに緑の柚子胡椒を入れるくらいで、そんなに一般的な調味料ではありませんでした。
福岡の餃子に柚子胡椒が一般的になったのはいつ頃からなのかははっきりしませんが、福岡の先人はいい組み合わせを発見したものです。
福岡市の繁華街・中洲。
かつては全国にその名を轟かせた大歓楽街ですが、久しぶりに訪れてみると、かなりさびしくなっていました。
ちょっと前まで九州では「福岡一極集中」が進行し「アジアの玄関口」として威勢がよかった福岡ですが、元気を失っているのが手にとるようにわかります。また同時に、中洲の売りであったオヤジ的快楽が受け入れられなくなりつつあるということでもあるのでしょう。
このさびしくなった中洲の路地裏にこの店はあります。
地下鉄中洲川端駅の中洲側の出口を出て南へ歩き、交番を過ぎさらに行ったところで右の「錦小路」へ。
けっこう有名な店であるにも関わらず、昔ながらの質素なたたずまいで長いカウンターと雑然と置かれたテーブルがあるのみ。
かつてはカウンターのなかで常に餃子を作る職人がいた記憶があるのですが、今回はすでに作り終わったところだったのか、それとも別の場所で作るようになったのか。ちょっと気になります。
味は先に書いたように、むちっつるんっの皮にペースト状の肉中心のあっさり味。ビールの友として最高なのですが、ただあっさり味ばかりだと飽きるのでしょうか、私の場合いつも「レバーニラ卵とじ」を追加してしまいます。
これもまたあっさりしていて食べるたびに「なんでこれを注文したんだろう…。」とちょっぴり後悔もするのですが、また次回頼んでしまうという不思議なメニューです。
どうしてもラーメンばかりに注目が集まってしまいますが、博多には餃子やうどんなどラーメンのほかにも独自でおいしいものがたくさんあります。
ぜひ一度、福岡を訪れた際は立ち寄ってみてください。百貨店の催事(九州物産展など)にもよく出店している
ようですので、見かけたら持ち帰り用を買ってみてもいいかもしれません。
なおテイクアウトのほか、中洲のスナックなどには出前もするようですから、九州最大の歓楽街を楽しむ際にもこの店の存在を覚えておくといいかもしれません。
「宝雲亭」(福岡中州・餃子)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400102/40000125/