メルシー、初めてうまいと思ったかも…。
というか、味が変わりました。
頼んだのは、今回初めて気づいた「タンメンチャーシュー」というメニュー。ラーメン400円、ドライカレー490円というこの店で、750円という破格のメニューです。こんな高級メニュー、あったっけ。
出てきたチャーシューはでかかった。丼を覆い尽くす大きさとのしかかる分厚さ。しかもしっかり肉の味がしてうまい。こんなうまいチャーシュー作る能力があったのか、この店。
これまでぼんやりした味のスープというイメージだったのがずいぶんはっきりと。塩がちょっときつすぎる気もしますが、悪くはありません。麺も質が上がった気がします。
この店は、早稲田でも伝説的な店。戦前、喫茶店だったときに学生がつけた名前が「メルシー」。戦後に軽食とラーメンの店になってもこの愛らしい名前を維持してきました。
店内は歴史を感じさせる内装。「べニヤ板」というほぼ死語を思い出させてくれます。でも昔はもっとボロボロだった記憶がありますから、これでもましになった方なのです。
久しぶりに来て、まずびっくりしたのはポークライス。
出てきたのはまさにチキンライス。ケチャップ味のあの炒めご飯です。違う…。
肉が豚だからポークライスということなのでしょう。
しかし、12年前は違いました。
この写真もまたポークライス。昔のは色が違います。豚肉たっぷりチャーハンといった感じ。
一緒に頼んだタンメンも、記憶の中の味とは違っていました。
味ががつん、とくるというか、以前のぼんやり優しい味とは明らかに一線を画す味。簡単に言えば塩味が強く、ややしょっぱいくらいなのですがそのおかげで味に輪郭ができ、うまみが引き立っています。
麺は細めで柔らかめ。のんびり食べてるとどんどん伸びて増えていく感じ。
滅多に来ないので、せっかくならと2品頼んだのですが、高校時代ならいざ知らずいまこの2品を平らげるのは厳しい。しかし残したら申し訳ないので、死ぬ思いで最後のご飯をかき込みました。
以前、店内はおじさんばっかりだったのが今回は時間が少し早かったせいでしょうか、学生がけっこう多いのに驚きました。というのも、いまの若者が好むラーメンは油ギトギト味超濃いめですから、これまでのメルシーの優しい味では学生を満足させられなかったのでしょう。それで昔を懐かしむ元学生らしきひとばかりの店になっていました。
しかし冒頭にも書いたように、味が変わりました。塩が少しきついくらいになり、ガツンとくる味になったことで、学生の好みにも合致したのかもしれません。
老舗の名前に胡坐をかいてそのまま滅んでいく学生街の店が多いなかで、味を変えたこの店がどうなっていくのか、非常に興味があります。学生時代通い詰めた人にこそ、また行ってみてほしい気がします。
「メルシー」(早稲田・ラーメン)
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