上の写真は、石原慎太郎・東京都知事が食べたという「辛いラーメン」(850円)。
よく「○○が来た店」なんていうと、おいしい店であるかのように私たちは錯覚してしまいますが、多くの場合その○○本人は自分でその店を目指してやってきたわけではなく、誰かに連れられてきたかたまたま立ち寄っただけのことがほとんど。
「ロブションが来た立ち呑み屋」なんていうのはその典型で、別にロブションがその名において店の味を保証するわけではないのです。
で、この“石原都知事が食べた辛いラーメン”。
意外にもこれがけっこういけるラーメンでした。豆板醤とラー油が辛さの源ですが、鶏ガラベースのスープがちゃんとしているために単に辛いだけでなくうま味がしっかり感じられます。
挽き肉ともやし、にら、キクラゲなどを炒めてこれらスープと合わせてゆであがった麺にかけるスタイル。
麺は細めの縮れ麺で、さして特徴のない普通の感じでしたが、まあ6日に一回しか島に来ない船で本土から運んでいることを考えると、そう凝った麺を使うわけにはいかないでしょう。
店の場所は、島の玄関口である二見港からすぐ。島の中心に入ってすぐの「バナナ荘」というドミトリー形式の民宿の一階。この春、民宿の一部を改装してオープンしたとのことで店内は簡素ながらぴかぴか。
8人ほど座れるL字型のカウンターや、4人用の小上がりのほかに、店の前にも10席ほどのテラスがあり、潮風を感じながら食べることだってできます。
後日、普通の「ラーメン」(750円)と「餃子」(500円)を食べてみましたがラーメンは塩をベースにしたスープにごまの風味の油の膜が覆うというちょっと古めのスタイル。麺にはむしろ合っているのですが、「辛いラーメン」とどちらにするかと言われたら私は間違いなく「辛いラーメン」を取るでしょう。もちろん好みの問題ですが。
100円高い「五目メン」(850円)は、エビや白菜などがちょっと乗った感じ。まあ100円差ですからこんなものでしょう。
また、「トンポーメン」(1,000円)は豚バラ肉の塊がゴロゴロと乗ったもの。
わかめも大量に乗っていて、こってりとあっさりでバランスがとられています。
餃子は皮がとても薄い、ごく普通のもの。5個のうち2個の皮が破れて提供されたのはまあご愛嬌としても、これで500円はちょっとかな、というものでした。
しかし「辛いラーメン」を見ても主人の味覚と腕は確か。
そして夜は麺類に加え、海老チリだの酢豚だのといった大衆的な中国料理の品揃えになりますので、こっちもけっこう期待できるような気がします。
南の島にいるからとはいえ、毎日魚を食べ続けては飽きる人もいることでしょうし、昼ぐらいは軽く、というひともたくさんいることでしょう。そんなときにこの店はいい選択肢となりうるのではないでしょうか。
暑い島で、「辛いラーメン」でおもいっきり汗をかいてみてください。
「かがや亭」(小笠原父島・ラーメン)
https://tabelog.com/tokyo/A1331/A133102/13095355/