昔、同級生の女の子がラーメンの残りスープにごはんを入れて食べる、と聞いてその子と距離を置いたことを思い出しました。
歌舞伎町にある「たかはし」。
焼きあご(焼いたトビウオ)でだしをとったラーメンの店です。
九州の人間にとってあごだしは高価なものの、わりと馴染みのある味。
とくに福岡の雑煮はあごだしが最上とされるなど、その強烈なうま味は九州人のDNAに刷り込まれています。
この店のスープもその濃厚なうま味にしびれそう。
やや塩が強いものの、とろっとした舌触りにトビウオならではのうま味がしっかり乗っています。
私が九州人だからより一層おいしく感じる、というわけではなさそうで、年明け最初の営業日であるきょうも寒風吹きすさぶなか、たくさんの人々が行列を作っていました。
麺も太めで強い縮れがあり、小麦の味がしっかり。
味玉もスープの味が濃いぶん、控えめの味付けに好感がもてました。
これは相当にうまい。中毒になりそうです。
で、店の自慢は精米直後にガス釜で炊いたというコシヒカリのごはん。
しかもこれを食べ終わったあごだしスープに投入して、お茶漬けのようにして食べろ、というのです。
ご丁寧にお茶漬け用のあられとわさびも常備。
わさびに至っては手でおろした本わさびが用意されていて、尋常じゃない勧めっぷりです。
2回目となったきょうは、この“宿題”を果たすためにごはん(中)を頼みました。
麺はほとんどなくなり、具はやや残った状態でごはんを投入。
あられを大量にかけ、わさびをひとさじ入れて食べてみます。
うまい。
縮れた麺でもすくい取れなかったスープをそのまま木の匙でごはんと一緒に食べるのですからダイレクトにうま味を感じます。
塩が強いので途中でややつらくなる部分はあるものの、それでもすべて飲み干してしまいました。
この店のメニューに具の多い“得製”はあっても麺の大盛りがない理由がわかりました。
昼間はたいていの時間で行列で、きょうも20分以上ものすごい寒さのなか待ちましたが、それでも食べたときの満足感が上回ります。
それでも並びたくない、というかたは午前5時まで営業していますので、新宿で飲んだあとにいかがでしょうか。
“お茶漬け”までとは言いませんが、みなさんにぜひ一度は味わっていただきたい店です。
…あの同級生の女の子に謝らなきゃ。
「たかはし」(新宿歌舞伎町・ラーメン)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13178753/