「孤独のグルメ」で取り上げられた、ひとりセルフすき焼きの店です。
1階はぐるっと部屋を一周するU字型のカウンター。カウンターの内側には鉄板があり、ひとつひとつの席に対応して丸い穴が開いています。
その穴から下をのぞくと、ガスコンロが。
穴をふさいているのは鍋です。ひとりにひとつずつ鍋を用意しようというのですが、それにしてもこのカウンター、凝ってます。明らかに特注品。とくに鉄板にめちゃめちゃ金がかかってます。たぶんこのシステムでチェーン展開しようとしたのでしょう。
店の看板にも「しゃぶ辰 西巣鴨店」と書いてあるところからもチェーン化の意図が感じられます。
この店といえばやはり「上州牛すき焼き定食」。ランチで2,500円、ディナーで2,980円で提供されるコースには見事なサシが入った上州牛の大きなスライス肉が鎮座し、これに白菜、春菊などの野菜に豆腐、白滝などが添えられて提供されます。
割り下はかなり濃く、甘め。高い「上州牛」の場合は、おかみさんが最初作ってくれるようになっていて、最初に少量の牛肉と長ネギを入れて牛脂で炒めてくれます。その後、肉を追加で入れたり野菜を投入するのはセルフになりますが、すき焼きでいちばん難しい最初の工程をやってくれるのは助かります。
味は、割り下が濃くて甘いために、砂糖や醤油をそのまま振って調理する関西風のすき焼きとよく似ています。甘い分、少量で満腹になる感じ。肉も野菜も決して少ないわけではないのですが、肉のおかわりをしようという気にはなれません。
これにご飯と味噌汁、うどんがついてきますからお腹いっぱい。ビールをつければもう満足です。
この店があるのは都営三田線の西巣鴨。A2出口を出てすぐ右側にUターン。
20mほど行った左側の一軒家です。まさかこのなかに巨大なU字型の鉄板カウンターがあるとは思えない普通の店構えです。
店内には、「孤独のグルメ Season5」におかみさん役で出演した富田靖子のサインも。
この子、私の隣町の出身でデビューしたころは眉毛が濃くてかわいかったんですよねぇ。
この店のおかみさんもちゃきっとしてて愛想がよく、富田靖子をキャスティングした理由がよくわかりました。
さて、この店のすき焼きにはもうひとつ廉価版の「国産牛すき焼き定食」があります。ランチで1,000円、ディナーが1,680円というお手頃価格。「上州牛」との違いはもちろん肉ですが、ほかにも長ネギが玉ねぎに替わったりと微妙な違いがあるようです。
こちらは完全セルフ。最初から自分でやらなければなりません。
しかしそれでも、濃い味付けの牛肉を生卵にひたして食べる幸福が味わえるのですから、ものすごいお得です。これが1,000円なのですから。
もちろん「しゃぶ辰」なのですからしゃぶしゃぶも。写真は1,000円の「三元豚バラしゃぶしゃぶ」。これもすき焼きと同じく白菜などの野菜に豆腐などが添えられ、たれもぽん酢とごまだれの2種類。ご飯に味噌汁そしてうどんまでつきます。
普通のしゃぶしゃぶを楽しんだ後は…。
残ったごまだれに辣油と七味唐辛子を入れるよう、おかみさんに勧められ…。
うどんを入れると、あら担々麺のできあがりです。
今回、久しぶりにこの店に行きましたが、1,000円ですき焼きが食べられるというお得感は変わっておらず、相変わらず多くの客でにぎわっていました。
堅苦しい座敷に通され、着物姿の仲居さんに作ってもらいながら、砕けた話もできずぎこちない会話で味わうすき焼きよりも、ひとりにひとつずつの鍋で誰に気遣うこともなく、手軽でお得で好きなように食べられるすき焼きのほうがいいと思いませんか。
私はすき焼きが食べたくなったらここに来ることにします。
「しゃぶ辰」(西巣鴨・すき焼き)
http://s.tabelog.com/tokyo/A1322/A132201/13012319/