いま「街中華」に続いてブームは「ガチ中華」だとか。
現地そのままの容赦ない味の料理で、客も中国人しかいないような店のこと。
しかし、15年以上前に池袋西口の「知音飯店」で想像を絶する辛さを体験し、その後の中国人移民による街の変貌を見てきた身としては、何をいまさらブームに、といった感じです。
ただ、「ガチ中華」は東京だけの話で、池袋のような中国人街のない福岡には関係ないものだと思っていました。
ところが那の川交差点に面したこの店。
夜は中国人の客でほぼ満席。福岡中心部から南に2kmほど離れたこの場所でひっそりと「川香閣」の看板を掲げるこの店こそ「ガチ中華」でした。
見よ、この血の池地獄を。
直径25cmはある大きな皿を埋め尽くす唐辛子と辣油。
その底に潜む豚肉を拾い上げ、口に放り込むとなかなか暴力的な辛さがうま味とともに口いっぱいに広がります。そして残った辛さをビールで流し込む快感までがセット。
皿が大きいので食べきれるだろうかと心配になりましたが、唐辛子がほぼ全面を占めてるほか、レタスやネギもけっこうあり、肉はちょっと多め、といった感じ。
なお、間違って唐辛子まで口に入れてしまうと、のたうち回ることになりますから細心の注意が必要です。
料理の名は「水煮肉片(豚)」(1,600円)。まさに四川料理です。
ほかにも「川香牛肚」や「火爆腰花」など真っ赤っかの料理のオンパレード。なかなかの危険地帯です。
この日は年末年始とあって通常なら夜も用意されているという定食類はなし。日本人のひとり客とあってお姉さんが非常に気を使ってくれます。「刀削麺あるよ」「青椒肉絲ありますよ」といった感じで、しきりに辛くないメニューを勧めてきます。
辛さに耐性のない一般的日本人が迷い込んで来たと思ったのでしょう。たしかに、辛さが苦手な広島人やその次くらいに苦手な福岡人だと悶え苦しむレベルかもしれません。
そのほか、頼んだのは羊肉と牛すじの串。
クミンなどのスパイスの効いた羊肉はなかなかおいしい。
牛すじのプルプルした食感もまた楽しい。
なおこの店、ランチの麺類や定食は日本人向けに調整、というか手抜きした陳腐なメニューばかりのようですので「ガチ中華」を堪能するならぜひ夜に行くべきでしょう。
まあ四川のガチ中華とはいえ、池袋の「知音飯店」はおろか「楊2号店」、赤坂の「望蜀瀘」に比べればかわいいもの。
四川料理入門として行っておくべき店でしょう。
「川香閣」(福岡平尾・中国料理)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40055173/