600円のカツ丼。なんと、カツが二枚重ねです。
昔、福岡は物価が安く、博多ラーメンは300円台が普通でしたが、東京の影響を受けどんどん値上がりし、いまでは700円前後が主流に。
しかし、郊外に行けばまだまだ安い店はあるもの。かけうどん280円、ラーメン450円、チキンライス500円、ちゃんぽん500円と安く、何でもありの大衆食堂です。
この店があるのは福岡の筑紫野市。太宰府の隣と言った方が通じる町ですが人口は10万と意外に多い。その町の、万葉集にも歌われたという二日市温泉の入口にある小さな店。
750円といちばん高いとんかつ定食にしようかと思いましたが、それでハズしても悲しいので無難な路線で選んだカツ丼。
二枚重ねのカツは、丼を隙間なく覆い尽くしていて、ご飯の最初のひと口を掘り出すのに苦労するほど。
肉は生姜焼きよりも厚く、ちゃんとした噛みごたえ。衣も無駄に厚くなくバランスが取れています。
ただ、卵とじの方は卵1個分に玉ねぎもパラパラと率直に言って貧弱ですが、カツが多いのですからもし卵が多いとむしろ辟易するかもしれません。ここらへんは考えられてるのかも。
一方、だしはしっかり効いていて、ご飯は九州伝統のつゆだく。 この点は好みが分かれるかもしれません。とにかく二枚重ねは食べ応えがあってお得感満点。この値段なら文句ないでしょう。
そして別の日にカツカレーを注文した時のこと。
いきなり言われたのが「ウチのは辛いですけど、大丈夫ですか?」。こんな町の大衆食堂でいったいどんな激辛カレーが出てくるのかとおびえながら待つこと5分。
大きなカツが皿一杯に横たわるカツカレーが登場。
カツ丼は二枚重ねでしたがさすがに1枚。しかしそれにしてもデカい。
さて、宣告された辛さは…。あれ、たしかに喉の奥にカッと残る辛さはありますがたいしたことはありません。ではなぜあそこまでの「宣告」があったのか。
それはたぶん、いかにも大衆食堂のこの店に客が期待するのは「うどん粉まみれの真っ黄色の家庭のカレー」。ですから甘いのが当たり前。そのギャップに驚く客からのクレームを防ぐ意味での「宣告」なのでしょう。
カレーソース(ルー)の味はとっても本格的。よく煮込まれていてスパイシーでおいしい。もう少しコクがあると嬉しいのですが、700円のカツカレーにそれを求めるのは酷というもの。
カツも大きいぶん薄いですが、あんまり分厚いカツが鎮座してたらそれはもはやカツカレーではなくなりますから、いいのではないでしょうか。コストパフォーマンスはじゅうぶん高いです。
隣の席のお兄ちゃんが食べていたちゃんぽんが素朴ながらおいしそうだったので、次はチャレンジしてみたいと思います。
目の前にあった市役所が移転してしまい、大変だとは思いますが、そのサービスぶりで頑張ってほしいものです。
「天六食堂」
https://tabelog.com/fukuoka/A4003/A400301/40030885/