この激うまメンチとの出会いは、2年前の花火大会でした。
2019年7月の鴨川花火大会。
ここに出ていた屋台の「漁師メンチ」を勧められるままに食べてそのおいしさにびっくり。しかし暗いなかだったのでどういう中身かよくわからないまま。
そのとき店の場所も聞いて何度か前を通ってはいたのですが、タイミング悪く2年越しの再訪となりました。
とにかくもう一度食べたかった漁師メンチをひとりひとつずつ。それに各々定食を選びます。
先に出てきた漁師メンチを割ると、中には青魚の身と刻んだ玉ねぎが。
サバの角切りと同じくらいの大きさの玉ねぎがひしめき合っています。
口に入れるとまずよくソテーされた玉ねぎの甘さがきて、続けてサバのうま味が追っかけてきて口いっぱいに広がります。
玉ねぎの甘さで生臭さが消されているのか、普通の肉のメンチカツと錯覚するほど。ソースがいらないほど濃厚なうま味です。
魚を使っておきながらここまで完璧な洋食メニューに昇華させた一品は初めて。水産加工品の全国大会で賞を獲ったというのがうなずけます。
この店があるのは南房総。館山市から鴨川市に向かう一本道にぽつんとある青い小さなビル。
漁師時代、たくさん獲れておいしいのに価値が低いカタクチイワシをどうにかしたいと食品加工に身を転じて始めた店だそうです。
なのでこの店でイートインで提供するのは「ひしこ」と呼ぶカタクチイワシがメイン。
刺身のほか、なめろうや漬けなどのほかトマト煮といった洋風メニューも。
私が選んだのは「ひしこ漬け定食」(1,200円)。
小さなカタクチイワシを一匹一匹開いて醤油と味醂に着け込んだものをご飯に載せたものがメインで、つみれ汁とカタクチイワシの味噌だれなどの小鉢が数品つきます。
酢飯はほんの軽く味がついてる程度でほんわか温か。カタクチイワシの漬け具合もしょっぱくなく身のうま味が引き出されています。
また、つみれ汁のおいしさも特筆ものでしたし小鉢一品一品も手抜きがなく、野菜も新鮮なものばかりでした。
全然おしゃれでも豪華でもないですが、まさに海と山の近くならではの料理。
とくに新鮮だからこそそのうま味が存分に引き出されているカタクチイワシ。
こういうものこそ南房総で食べるべきなのだと強く感じました。
ぜひ行ってみてください。強く強く推奨します。
「なむら」(千葉南三原・鮮魚料理)
https://tabelog.com/chiba/A1207/A120704/12003610/