ポテサラといかめしのセット、900円。
メニューはこの一種類のみです。
とくにおいしかったのはいかめし。
小さないかの胴体にご飯を詰め、天つゆのような味のたれをまぶして衣をつけて揚げたもの。
いかがふんわりと柔らかく、ご飯はもちもちしています。詰め込むという感じではなく、ご飯粒の間に空間が残っている感じ。
ひと口サイズに切ってから揚げているので食べやすく、乗せられた木の芽もピリッとしていいアクセントを与えてくれます。
この店、銀座の割烹が人気メニューを引っさげ、築地で軽く飲める店を、とはじめた店だそうですが、オープンしたのが4月26日と、緊急事態宣言による【禁酒令】開始の翌日。
こちらが心配になるほど荒波のなかの船出となりました。
なのできょうもビールもなし。
ノンアルコールで自分を騙しながら流し込みます。わびしい…。
一方、もうひとつの自慢料理であるポテサラはひとことで言ってなめらか。
マッシュポテトの状態を超えクリームのような舌触りのなかに小さな粒つぶのじゃがいもやきゅうりなどが溶け込んでいる感じ。
よくある、居酒屋で人気の「いも感」たっぷりのポテサラとは対極にある上品なポテサラです。
先ほどちょっと書いたように、この店があるのは築地場外市場。
日曜日とあって開いてる店は少ないですが、それでも昔に比べたら多くなりました。
昔は、隣接する中央卸売市場の開市にほぼ連動。日曜と水曜はほぼ開いていませんしたが、市場の豊洲移転とインバウンドに合わせ、毎日開く店が増えたのです。ある意味「アメ横化」ですが。
その築地場外市場もコロナ禍とそれに伴うインバウンド需要の消滅によって空き店舗が目立つように。
そうしたなか、銀座の割烹が自慢の料理を引っさげ、築地に活路を求めて攻め込んできたというわけです。
店の場所は、乾物屋や海鮮丼屋が軒を連ねる間にある、暗くて細い通路の奥の奥。
ひっそりと紫色の暖簾を下げています。
店内は明るい木目でまとめられ、おひとり様用カウンターが壁に沿って作られ、4人用のテーブルがふたつ。場違いなほど高級感に溢れています。
ただ、暖簾が大きくて中が見えにくいのと併せて、外に何もないので何の店だかわからないのが難点。
これから模索しながら表から見えるような看板を出したりしていくのでしょう。
立ち飲みスタイルでもやっていきたいようですから、いずれ徐々にメニューを増やしながら独自のスタイルを作っていくのだと思います。
緊急事態宣言が明け、さらにコロナ禍が収束したらまた行ってみたい店です。
みなさんもぜひ。
「吟ぽて」(築地・居酒屋)
https://tabelog.com/tokyo/A1313/A131301/13257713/