大晦日までの限定スペシャルコース「孤独の忘年会」だそうです。
「孤独のグルメ Season5」第8話の舞台となったブータン料理専門店で、井之頭五郎が食べた激辛料理すべてをちょっとずつ出してくれるこのコース。
もともとはコロナ禍で複数人数用のコースが提供できなくなったことで始めたそうですが「孤独の忘年会」の名のとおり、「孤独のグルメ」を見て来る客に照準を定めていることは間違いありません。なんと親切なことかと涙が出そうです。
もちろんブータン料理は初めてですがブータンはもともとチベット文化圏。その激辛ぐあいはチベット料理店「タシデレ」で体験済みですから余裕綽々で代々木上原に降り立ちました。
急な坂を登り、細い路地を抜けること5分。赤い外観の店は、2人がけの小さなテーブルが4つしかないかわいらしい空間でした。
電話で予約しているので、すぐに「孤独の忘年会」のスタートです。
最初に出てきたのは「エダマツィ」。
でかい赤と緑の唐辛子がメインのスープ。井之頭五郎が顔中汗を吹き出しながら食べていた危険な一品です。
躊躇していると続けて「モモ」が出てきたのでこちらを先に。
チベットのモモが小籠包っぽい形なのに対し、こちらのは餃子。口の止め方が凝っています。
期待どおりふんわりと柔らかい味でした。
薬味であるエヅェは「タシデレ」に比べ玉ねぎの甘さが少なく、辛さがストレートです。
続けて「ホゲ」。
カッテージチーズであえたサラダですがこれも唐辛子入り。マイルドではありますが辛さに弱い人ならこれでもダメというレベルでしょうか。純粋においしい。
「干し肉のパクシャバ」は、豚の三枚肉を干したものを大根などと炒め煮したもの。日本でいうおでんのようなものでしょうか。カラメルっぽい甘さがあり、大根そのものの甘さも感じられますがやはり辛さが支配しています。
そして他に食べるものがほぼなくなった状態でいよいよ「エダマツィ」です。
この巨大唐辛子を乳白色のスープと一緒にご飯にかけて食べるのですが、恐る恐る食べてみると、あれ?甘い。
肉厚で柔らかい。ピーマンのよう。もしかして辛くない唐辛子?
…と思ったのが甘かった。
最初に甘く感じたのはクリームスープで、あとから激烈な辛さが追っかけてきます。
水分の多いもっちりしたご飯に絡ませその甘さで中和しようとしますがとてもとても。唐辛子が触れた口の周りまで痺れてきます。キツい…。
残しておいた「ホゲ」が甘く感じられ、折れそうな心を支えてくれます。
なんでこんな暴力的な辛さのものを食べにゃならんのか…。
生ビール2杯で流し込み、どうにか平らげることができました。
こりゃあ明朝、七転八倒するんじゃ…と思いながら帰宅すると、不思議な感覚に身体が包まれてきます。シャキっとしてきたというか、身体がリセットされたようなこれまでにない感覚。それまでのダルさがなくなり、いつまでも眠気が襲ってきません。あすやろうとやり残していた仕事を帰宅すぐからやっつけてしまいました。
これぞカプサイシンの力なのか、幸福の国・ブータンの秘めたるパワーなのか。
あれだけ悶苦しんだ激辛料理をまた食べたくなりました。
みなさんもぜひ、激辛のあとの不思議な【覚醒】を体験してみてはいかがでしょうか。
たぶん「孤独の新年会」もあるでしょうから。
「ガテモタブン」(代々木上原・ブータン料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131811/13039628/