「うなぎのオムライス」っていうからどんな風に“包まれてる”のか興味がありましたが、単なるうな玉丼でした。
でも、これがめちゃめちゃおいしかった。
昨今のうなぎ暴騰の折、950円のランチでたくさんうなぎが載ってるなんて期待してませんでしたが、それにしても丼の中央に鎮座するのはグズグズの細かすぎるうなぎ。
ただ、このグズグズのうなぎがたっぷりと出汁を含んでいて、この出汁のうま味とうなぎの調和がいいのです。
ふつうのうな玉丼は、使われてるうなぎは蒲焼きにしたもの。そのまま卵でとじてますから、うなぎそのものは濃いたれをまとっています。
ところがこの店では、うなぎはたぶん白焼き。それを細かく刻んだ上で出汁をからませて載せています。玉子焼きもほぼプレーン。
たっぷりの出汁は食べ進むうちに下のご飯に浸透し、全体をうま味で包みます。これはうまい。一気呵成に食べてしまいました。
付け合わせはトマトとらっきょうをあえたものですが、軽く甘酸っぱく仕上げてありこれも美味。
この店、3年ほど前にジビエとうなぎの串焼きの店としてオープンしましたが、ランチは意外に保守的で魚の切り身を焼いた定食がメイン。
しかし一方で、丼ごはんの上に削りたての鰹節がてんこ盛りとなった「極上削り節定食」や、鹿と猪が入ったという「ジビエカレー」などユニークなメニューも。
「極上削り節定食」(1,000円)というのは、いわば猫まんま。
注文を受けてから手で削ったばかりの鰹節が、ごはんの上にてんこ盛りになって出てきます。いい鰹節なので、醤油をかけなくてもごはんと一緒にかき込めば、鰹の香りが口じゅう満たされ、うま味と適度な塩分でおいしく食べることができます。
ただこの極上削り節定食、削る人の技量によって見た目が大きく左右されます。
このときは最初に削っていたお姉さんがヘタ…いや、慣れてなかったようでおがくずのような粉が大量に。そのあと別のお姉さんが格闘するもうまくいかず、最後になって焼き場のお兄さんがガリガリとやってようやく薄く細長い削り節ができたようです。
なので上の方はきれいですが、下の方はグズグズ。それが残念と言えば残念でした。
「ジビエカレー」(950円)はキーマになっていますが、正直カレーはカレーであって、鹿や猪だとわかる風味が感じられませんでしたので、ちょっと損した感じでしょうか。
「うなぎのオムライス」も最初からメニューにあったのですが、どうせうなぎの量がちょこっとしか入ってないだろうと敬遠していました。実際、ちょこっとだったわけですが、味は「極上削り節定食」よりも「ジビエカレー」よりもよかった。
もし「うなぎがもっとないとねぇ」という方は「うなオムデラックス」(1,950円)がありますからぜひどうぞ。
新宿のかなりはずれでなかなか行く機会はないかもしれませんが、よかったらぜひ。
「新宿寅箱」(新宿三丁目・居酒屋)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13209079/