君は、ダムカレーを知っているか!?
時として荒れ狂う河川を抑え込み、豊かな暮らしを実現する人類の叡知の結晶・ダムを、コメとカレーで忠実に再現した驚異の料理。
とくにこのアーチ式ダムカレーなんか「プロジェクトX」で大きな感動を呼んだ黒部第四ダムにそっくりです。
ぎっしりと固められた白米の堤体は、両側の陶器の岩盤と完全に一体化し、カレーの重圧を全身でくいとめています。そして放流される水を福神漬けで表現。その美しさ、精緻さにため息が出ます。
都営浅草線本所吾妻橋にあるこの店は、ダムカレー発祥の店。いまや全国のダムの名物グルメとなっているダムカレーの総元締めでもあります。
本業は、伝統ある高級料亭「三州家」。
この料亭の跡継ぎ息子がダム大好きで、「ダムマニア」というウェブサイトを運営するほど。
さらに趣味が高じてダムカレーなるメニューを作ってしまい、高級料亭のいわばセカンドラインである同じ建物内の和食レストランで提供してしまったのです。
現在提供されるダムカレーは4種類。アーチ式の他、重力式 、アース式、ロック(ライス)フィル式で、それぞれ独自の「型」を使って正確に再現されています。
なんと、具だくさんの味噌汁つき。
カレーに味噌汁なんて…と最初は怯みますがこれもダム好きならではの計算が。
というのもダムカレーを食べる醍醐味は【決壊】の瞬間をこの目で見られること。
白米でできた堤体をスプーンで徐々に削り、どこまで薄くしたら決壊するかを観察するのが楽しみなのですから、カレーには手をつけられません。掘り出された白飯を黙々と食べるときにこの味噌汁が非常に役に立つのです。
そしてめでたく(?)ダムが決壊してはじめてカレーが食べられるのですが、このカレーも手抜きがありません。もちろん専門店ではありませんから尖った特徴こそないものの、しっかりと作られた安心して食べられる味となっています。
このダムカレーだけは予約制。
理由は「“施工”できる者がひとりしかいない」から。つまり、跡継ぎ息子がそのとき店でスタンバイできるかどうかです。逆に言えば、跡継ぎ息子がいさえすれば当日の直前でも対応可ですので、浅草やスカイツリーに行った際には電話してみるのもいいかもしれません。
ちょっと駅から遠いですが、近くの本所中学校には王貞治さんの顕彰碑もありますし、お散歩がてらいかがでしょうか。
お値段も普通なのに、これほどインスタ映えするカレーもなかなかないと思いますよ。
「Japanese Restaurant 三州家」(本所吾妻橋・カレー)