「ひゃくななじゅうごどでのタンタンメン」と読みます。
175度というのは、油の温度。辣油を作るときに唐辛子などにかける油が175℃だと最もおいしい辣油ができるというのを発見したそうで、それを店名にしてしまいました。
新宿の大ガード西の交差点から北へ続く道は、かつてラーメン激戦区と呼ばれた小滝橋通り。
四川料理で知られる「天府舫(テンフファン)」を目指して歩いていたら、新しい店が目に飛び込んできました。見ると担々麺の専門店です。
広島の汁なし担々麺の草創期から知っている私としては、担々麺とあると無視して通り過ぎることはできません。しかもなんかよさげな雰囲気が漂っていたため、事前情報なしに飛び込んでしまいました。
券売機には、汁なし担々麺と普通の汁そばの担々麺。それぞれに「シビレなし」「シビレる」「すごくシビレる」の三種類のボタンがあります。山椒(花椒)の量だけの違いのようです。
究極の担々麺を求め、中国で花椒を買い付け、全国の有名店で修業して作りあげたという担々麺がこちら。
そのままのカシューナッツとピーナッツがトッピングされているのが目を引きます。
麺は平麺。かなり角ばった形状です。麺の下には辣油が敷かれています。
券売機で買うとき、「すごくシビレる」のボタンを押していたのを見たスタッフの女性が「そしたら、揚げ山椒はいかがですか?」と尋ねてきました。いまひとつイメージができなかったので聞き返すと「香りが立ちますよ」とのことでそれではと頼んでみました。水菜の上にかかっている粉がそれなのでしょう。
よく混ぜて食べてみると、なかなかにおいしい。肉みそがやや少ないかなとは思いますが、カシューナッツなどの食感がそれを補い、不満はありません。
ただ、辛さはそれほどではありません。担々麺の辛さには「麻」という山椒(花椒)の痺れる辛さと、「辣」という唐辛子のホットな辛さがあり、ふたつ合わせて「麻辣」と表現されますが、とくに「辣」が弱い感じ。
そこで卓上にあった辣油を。下に香辛料が沈んでて、いかにも自家製といった感じ。
辣油をかけてみました。けっこうかけたのですが、ほとんど辛さが増しません。どうやら辣油そのものがあまり辛くないようです。
最後にライス(100円)を入れて、肉みそを最後まで味わって完了。
おいしくはありました。ただ…。
食べ終わり席を立ったとき、店主らしき男性が近づいてきて言いました。
「どうでしたか?“すごくシビレる”でしたけど、辛すぎませんでしたか。」
「いや、全然。ちょうどよかったですよ。」
正直言って、“すごくシビレる”を選んだからには、唇がジンジンして感覚が麻痺するくらいまでの「麻味」を望んでいたのですが、ちょっと拍子抜けしました。先に書いたように唐辛子の辛さも控えめ。鮮烈な「麻辣」を求めたのに拍子抜けした、というのが率直な感想です。
この店、最初は札幌からスタートして上京してきています。たぶん辛さになれていない北海道の人々の味覚の水準をまだ引きずっているのではないかと思いました。
東京の水準を学び、身につけたらまたこの店の評価は格段に上がることでしょう。
楽しみです。
「175°DENO担々麺」(新宿・担々麺)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13218285/