なんと柔らかい鶏ささ身のフライでしょうか。
ふわっとしてしっとり。パサパサしがちで繊維っぽい鶏ささ身の概念が壊されそうな一品です。
食べたのは、「ささみカツ・アジ半身フライ御膳」(1,300円)。
揚げ物のくせにけっこうな値段をとるなぁ、というのが最初の率直な感想でしたが、実際に食べてみてそれだけの価値はあると思いました。とにかくふんわり、衣はさくっとしながら身はしっとりという絶妙の感触なのですから。
この店があるのは、松濤。東急本店の角を左に進み、3分ほど歩いた場所の右。デカ盛りで有名なカレー店「リトルショップ」の向かいにあります。
実は今回、久々に「リトルショップ」に行こうと思っていましたが、ぐずぐずしてて12時ちょうどに着いてしまったため10人超の大行列。さすがに諦め、後日再チャレンジということに。
で、ふと通りの反対側を見ると「トリビー」がランチ営業をやっています。
ここは夜しかやってなかったのに。
「ササミカツ御膳」とあり、なんだか興味をそそられます。
階段を降りていくと、昔はなかったはずのサイケな装飾が。
この店の名前の由来は、「とりあえずビール」略して「トリビー」。
かつてこの店はたしか姉妹で経営していたはず。ところが店にいるのは男ふたり。店全体の雰囲気もなにか変わったような気がします。
ランチメニューのなかにあったヒレかつやロースかつが仕入れの都合からできない、とのことで「ささみカツ・アジ半身フライ御膳」を注文。すると、最初に出てきたのはお代わり自由のキャベツの千切りでした。
ここからメインが出てくるまでに時間がかかりました。フライが出てきたのが15分くらいあと。
おいしそうです。
ところが、ここからさらにオペレーションがぐだぐだ。
あつあつのうちに頬張りたいのに、いつまで待ってもご飯も薬味の皿も出てきません。フライがどんどん冷めていっています。
ご飯がきたのは5分以上あと。しかもスタッフのお兄さんの要領があまりにも悪く、目の前のテーブルの二人組と私にフライが来ているのに、先にわざわざ二人組の分のご飯と味噌汁を持ってきて、もう一往復して私の分を持ってきます。なんで同時に持ってこれないのか理解不能。イライラしました。
アジのフライは、きれいな四角形に整えられていて、一瞬イカフライかと思うほど。しかしかじってみるとアジの身がほわっと柔らかく、臭みがありません。これはかなりおいしいアジフライです。
アジフライ2尾がつくという「アジフライ御膳」(1,000円)にしておけばよかったとやや後悔。
小さなナスのフライも添えられていていいアクセントに。
薬味の皿にはささ身用のタルタルソースと、アジフライ用の大根おろしが。アジフライは醤油で食べるべし、という店の考えがあるのでしょう。ここには共感しました。
卓上のソースは、刺激の少ない穏やかな味。柔らかなささ身と非常に合っています。
ささ身というと、ヘルシーであるぶんうま味に乏しく、繊維質な感じもあり好きではありませんでした。
ところがここのカツは、そんな概念をひっくり返すほどの柔らかさとしっとり感、そして味のふくよかさがありました。これはお勧めです。
帰りに、調理人のほうの男性に声をかけてみました。
「この店は前、女性がやってた記憶があるんですけど、経営が変わったんですか?」
「それは先代のかたですね。いまは壁に描いてあるスタッフでやってます。」
とりあえずビール、の「トリビー」の名は残っていますが、かつてのトリビーとは違う店になっているよう。好きだった、大きいシジミの醤油漬けなどはもう食べられないのかと思うと一抹の寂しさが残りました。
「イザカヤトリビーMark.2」(渋谷・居酒屋)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13014667/