赤羽で最高の居酒屋です。
開店は朝から。朝っぱらからみんな酒を飲み、ランチタイムというものはありません。以前は毎日9時からだったのを平日を10時開店に変更したとはいえ、さすが赤羽、飲んだくれの聖地です。
まるます家といえばメンチカツ。
まるまるとした大きなメンチカツは、かつてほどの巨大さはなくなったとはいえ、出来立てのあつあつを頬張ると嬉しくなってしまいます。
そしてもうひとつの名物が「ジャンチュウ」。
「ジャンボ酎ハイ」の略だそうで、ハイリキの1リットル瓶のこと。
これを頼むと氷で満たされたジョッキと一緒に提供されます。
オプションで「モヒート」と呼ぶ100円の皿にはライムとミントが。場末の居酒屋でまさかライムが出るとは夢にも思いませんでしたが、これを入れるとまるでしゃれたカクテルのように抜群にうまくなるのですから不思議です。
この店があるのは赤羽駅西口のすぐ北に広がる一番街。
昔は映画館などもある歓楽街だったようですが、いまはただ大小さまざまな飲み屋が広がる「飲んべえの聖地」となり、その中心にこの店が陣取っています。
店内は、1階が「弓」の字型のカウンターとほんの少しのテーブル席。うねうねと曲がったカウンターの外側に客が貼りつき、その内側の細い通路にそれぞれ担当のおばさんがいて料理や酒を運んできてくれます。
カウンター同士が向かい合わせとなっていて距離も近いため、お互いの客の様子は丸見え。話してる内容もある程度わかるため、人間観察には最適です。もちろん、ふとしたきっかけで話が始まり、仲良くなったりするところもこの店ならではの醍醐味といえるでしょう。
2階は畳敷きに薄っぺらい座布団という昔ながらの座敷。押し込まれる感じの1階よりもこっちのほうがくつろげるという人も多いかもしれません。ただ、生まれてからずっと椅子での生活をしてきた私にはちょっと辛いかも。
もともとこの店は、鰻をはじめとした川魚の店。
鰻のかば焼きはふっくらとやわらかく、やさしい味。
近年のしらすうなぎの不漁から、これまで国内産にこだわってきたのですが、ついに入荷が滞ったためにこの2月から台湾産に切り替えたとのこと。
まあでもほとんど居酒屋と化したこの店がこれまで国産にこだわってきたことが驚きですし、また台湾産に切り替えたことを報告する正直さにも驚きます。
そのほか、鯉は刺身からあらいから鯉こくまで。専門店を名乗るだけあって、泥臭さなどみじんもなく、鯉という食材を見直すほどおいしいものが食べられます。
「どじょうの卵とじ」。いわゆる柳川鍋ですが、ごぼうにどじょうのうま味がしみこみ、ふんわりと卵でまとめられています。これとご飯だけでじゅうぶんな一食にできそうな感じです。ほんとうにおいしかった。
そのほか、通常の居酒屋メニューもほぼすべてそろっています。
「牛すじの煮込み」は柔らかく煮込まれ、甘辛く味付けられた牛筋に、大根やにんじんを添えて薄味で煮込むという凝ったつくり。さっぱりとしておいしい一品です。
とりわけおいしかったのが「里芋から揚」。外はカリッとして内はねっとり。しっかり下味がつけられているので、これだけでおいしく食べられます。350円と安いのもいい。
みんなで片寄せあって、不思議な一体感を共有しながら和気あいあいと語り合う。そんな幸せな光景が見られる場末の店。
漫画「孤独のグルメ」にも描かれました。
ぜひ一度、親しいひとと訪れてみてください。
赤羽という街が好きになりますから。
「まるます家」(赤羽・居酒屋)
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132305/13003778/