昔からあこがれてた店です。
深夜、タクシーで246を帰る途中、三宿の交差点に灯っていた「香港麺」の明かり。
ここはいったいどういう料理を出すのだろうと興味津々で見ていたのですが、場所が池尻大橋駅と三軒茶屋のちょうど中間。わざわざ行くにはちょっと根性がいる距離でしたから、ついぞ行かないまま歳月が過ぎてしまっていました。
今回ようやく訪れてわかったのは、意外に普通の店だったということ。
いや、時間がこの店を普通にしたと言うべきでしょうか。中国人が料理人を務める中国料理店なんてまさに掃いて捨てるほど増えた現代にあって、「本場そのまま」であることの希少さが薄れたと言っていいのかもしれません。
ただ、巷にあふれる中国料理の店で、本当に中国で修業した料理人はひと握り。
実際には簡単な手ほどきを受けただけで「料理の専門家」として日本への渡航手続きをしてやってくるのがほとんどだそうです。
そういう意味ではこの店はやはり本格的。
以前は麺とぶっかけご飯しかなかったそうですが、いまは様々な料理を味わえるようになっていました。
小皿の総菜は、3皿で1,100円といろいろ食べられてリーズナブル。豚足や砂ぎも、イカの炒めなど酒の肴が盛りだくさんです。
ただ、印象に残ったのはやはり麺と飯でした。
とりわけおいしかったのが「焼き香港伊麺」。伊麺は伊府麺とも言い、小麦粉と全卵だけで打った麺をさらに油で揚げたもの。これを普通は汁そばにするところを炒めたのがこれ。平べったい麺は卵のおかげでおいしく、これに海老やニラ、さらにオイスターソースとの相性もよく、香り高い焼きそばになっていました。
もうひとつが牛肉を卵でとじ、ご飯の上にのっけた料理(料理名失念)。
中国の天津に天津飯はない、とよく言いますが似た料理はちゃんとあるんだなぁ、と感じ入る料理でした。
あと、小皿でおいしかったのは大根餅。
かつて渋谷にあった「新楽飯店」の大根餅がこれまでにいちばんおいしい大根餅でしたが、それにかなり近い味と言えます。
駅から遠いのと予約不可なので、車でないときにはかなり歩く覚悟と満席だった時にさまようことになる覚悟もいるのですが、それでもぜひまた行ってみたくなる店。
焼き香港伊麺だけでも食べに行ってみてください。
「香港麺 新記」(世田谷三宿・中国/香港料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131705/13007076/