焼鳥屋なのに、豚バラがない…。
ちょっとなに言ってるかわかんない、と言われそうですが、福岡の焼鳥屋は豚バラが必須科目。
ところがこの店は豚バラもなければぐるぐる巻きの鳥皮もありません。いまどきの福岡の焼鳥屋とは思えない。
頼んだのは「焼鶏コース」(2,200円)。ささみ、レバー、砂肝、うずらの卵、ねぎまき、だんご、皮、ぼんちり、手羽先の串9本に小鉢、サラダ、スープがつきます。
なかでも印象に残ったのはレバー。しっとりふわふわの超レア。こんなレアなレバーは久しぶりです。
豚バラを一緒に扱う衛生面のせいか、福岡の焼鳥はけっこうウェルダン。ガジガジのパサパサの店も少なくありません。ところがこの店のレバーは東京の高級店のそれ。ご主人はたぶん福岡以外で修業したのでしょう。
ささみもパサつきなくしっとり。
皮もジャバラのようなオーソドックスな挿し方でじゅわっとしておいしい。
そうだった、焼鳥ってこうだった、という福岡で忘れかけていた喜びが甦ってきます。
コースを堪能したあと、気になっていた黒板メニューについて質問。
「ソリレスってなに?」
ソリレスとは鶏もも肉のなかにあるピンポン玉くらいの大きさの筋肉の塊で、希少部位とのこと。
さっそく頼んでみます。これがもうジューシーでうま味が吹き出す感じ。これだけ9本食べてもいいくらい。こんな肉があるとは。
語源はフランス語の「sot l’y laisse」(愚か者はそれを残す)からだそうでそれほど美味ということ。黒板メニューですのでいつもあるというわけではなさそうですが、見つけたら必ず注文すべき一品と言えるでしょう。
福岡市中心部から西鉄大牟田線の特急/急行に乗って2駅。ミニ副都心としてマンションが建ち並ぶエリアですが、飲食店もいい店が多い街。
福岡の主流とは違った焼鳥ですが、東京の高級店の雰囲気を舌で感じられる店として覚えておくといいでしょう。ぜひ一度。
「明日楽(あすた)」(福岡大橋・焼鳥)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400202/40031976/