甘いと聞いてたので、実はそんなに期待していなかったカレーですが、想像をはるかに上回る豊かな味に驚きました。
天然の舞茸を食べたときに感じた、チーズのようなトリュフのような味わい。
その香りがカレーとともに口の中に立ち上がってくるのです。
このカレーがあるのは、博多湾に浮かぶ能古島(のこのしま)。
福岡市西部の渡船場から小型フェリーで10分の小さな島です。
この日は朝から暖かく、雲ひとつない快晴だというのに、蔓延防止措置のせいで島はスカスカ。日曜日なのに。
島の唯一の玄関口である船着場から徒歩10分、レンタサイクルだと5分ほどのきれいな砂浜に面した場所にその店「能古島アイランドカレー」はありました。
ただ、看板には「No Ko curry」とだけあり、その下に「創作 懐石」の文字が。
おいおい、カレー専門店じゃないの?
まさかニセモノ?と頭の中がぐるぐる。ただ、周囲を回ってもカレー屋らしきものはありません。
結局、ほかを観光して戻って入ったのが12時半ごろ。待ってたかのように温かく迎えてくれました。
店内は天井が高く南側一面がガラス張りでスッキリとした空間です。
メニューを見ると、カレーが二種。
鮑(あわび)カレーときのこカレー。あら、海鮮ないの?肉ないの?
で、ページをめくると「海鮮丼御膳」、夜は1万円以上の懐石コース…。
何屋なのかわからなくなります。
サラダや前菜などいろいろついて鮑が3,600円できのこが2,500円。どっちにするか悩みます。
単体でもできますと書いてあったので尋ねると、鮑が3,000円、きのこ1,300円。
なんだこの差額の違いは…。
結局、きのこカレーのコースを注文。最初に出てきたのは煮アサリやわらび、サーモンと明太子を和えたものなど4品。いきなり和でちょっと面食らいましたがどれもおいしい。つい頼んでしまったビールが進みます。
すると、おじいさんがニコニコしながら近寄ってきます。「いや、ビールをおいしそうに飲んでるからね」と、手にしてるのは小さな皿。キビナゴの刺身に味噌だれをかけたものでした。サービスだそうで、そのおいしいこと。
どうやらおじいさんは創業者のご主人。
実はこの店、福岡の老舗寿司店の経営。ご主人が愛する佐賀の店が閉店するにあたって、伝授してもらったカレーの味を広めるためにここを始めたそうです。
続けてサラダ。
赤い大根やゴーヤ、カラーピーマンなど色とりどりで鮮やか。ドレッシングも優しい味です。
ここでまたご主人がニコニコしながらもう一品持ってきます。
こんどはキビナゴの骨せんべい。
さっきのキビナゴを開いて刺身にするときに外す細かい骨を炙ったものですが、これが意外にもかなりの美味。ほんのりとした塩味に骨のうま味が調和して最高の酒肴となっています。
いかん、ビールが2本目…。
そしてようやく出てきたきのこカレー。
黄色というか山吹色というか、とにかく甘そう…。
ところが口に入れた瞬間、甘いか辛いかなんてどうでもよくなります。
うまい…。
冒頭にも書きましたが、天然舞茸というかトリュフというか、チーズのようなちょっとクセがありながらも圧倒的なうまさ。衝撃的でした。これはもうカレーではない。
ご飯を大盛りにしておいてよかったし、サービスでカレーソース(ルー)を追加してくれたのもよかった。存分にこの味を堪能することができました。
デザートの柑橘のゼリーでお腹いっぱい。
ふらっと思いつきで来た能古島の旅は最高のものになりました。
今度また来たら鮑カレーに挑戦です。
みなさんもぜひ。
能古島アイランドカレー(福岡能古島・カレー)
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400203/40059915/