10年ぶりに来てみましたが、やはり東京で食べられるうどんのなかで、最もおいしいうどんだと思います。
弾力だけでなく、ちゃんとおいしい小麦の味がする麺。
わざとらしくない、きちんとしたうま味のつゆ。
15年前、まだこの店を始めたばかりのご主人に話を聞いたことがありますが、「この店で出すのは讃岐うどんではなく高松のうどんなんです。僕が地元で食べていた普通のうどんを、みんなに食べてもらいたいんです。」と語っていました。
いまだに続く讃岐うどんブームは正直、グルテンの力を借りた単なるのど越し自慢、歯ごたえ自慢で、味のない麺があふれかえっています。
しかしこの店の麺は、ほんのり甘い小麦粉の味が噛むたびに口に広がり、うどんを食べている実感というか喜びをしっかり感じ取ることができるのです。
また、つゆが非常においしい。
いりこのだしがきいていて、なおかつあっさりとした醤油味。
このつゆが麺の表面にまとわりつきながら口に入っていくとその瞬間に「うどん」というひとつのメニューが完成されるような、そんなバランスのよさを見せるつゆなのです。
今回頼んだのは上天うどん。
細長い天ぷら(揚げた魚肉練り製品)がどーんと横たわる温かいかけうどんです。ほんとは丸天うどんを頼みたかったのですが、直前で売り切れで残念無念。
これにかしわ天とおむすびをつけました。
かしわ天とは香川産の鶏肉を揚げたもの。天ぷらというより唐揚げに近い気がしますが、塩味の淡い味付けで美味。
これに対しおむすびもまた塩味だけで海苔を巻いたシンプルなものですがその塩梅がまさに絶妙です。
昔はけっこう通っていて、あったかいの冷たいの、いろんなものを食べていましたがまったくハズレがありませんでした。
いまなお行列ができているということはそれらも何も変わっていないということなのでしょう。
繰り返しになりますが、東京でここまでおいしくてコストパフォーマンスのいいうどんはないはずです。
みなさんもぜひ一度。
「丸香」(神保町・うどん)
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13000629/