【鳥つねの親子は汁で食う】。
こう謳われた、“つゆだく”っぷりの親子丼は、評判通りのおいしさでした。
以前、末広町にある「鳥つね自然洞」という店には行ったことがありましたが、そこが暖簾分けだと知ったのはつい最近のこと。
本家は、湯島天神のすぐ裏にありました。
ランチのメニューは、親子丼のみ。
「上親子丼」(1,500円)に、手羽先・サラダがつく「上親子丼セット」(2,600円)しかありません。なかなか潔い商売ですし、自信のほどが伺えます。
運ばれてきた丼は、表面すべてがとろっとろ。
まだ固まってない白身が全体を覆いつくしながらも、しっかりとひとつの塊としてご飯に乗っている、といった感じでしょうか。
「げんかい食堂」のようにすべて黄色、も美しいですが、ここのように白や黄色のグラデーションがあるのもまた美しいな、と感じます。
ひと口め、最初に感じるのは甘さ。そしてコクのあるうま味が後から追っかけてくる感じ。だしのうま味が絶妙です。
鶏肉は薄くそぎ切りにされていますが、歯応えじゅうぶん、良い肉を使っているのでしょう。
全体がとろっとろなのに崩れやすいわけでもなく、全然食べにくさがありません。これぞ絶妙な火の通し方というのでしょう。
しかしなかなかの “つゆだく” っぷり。食べ終わると、丼の底には小さな水たまりができるほどです。
九州のかつ丼がじゃぶじゃぶのつゆだくで、ヨソから来た人は相当嫌がるのですが、そのじゃぶじゃぶに近い感じ。でもこの親子丼なら、誰も文句を言わないかもしれません。
すべてが計算されつくし、熟練の技で作り上げられる、親子丼のひとつの頂点と言っていいのではないでしょうか。
「鳥つね」(湯島・鶏料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13003588/