あまりのおいしさに衝撃を受け、2日連続で通った店です。
衝撃を受けたのは「ひよこ豆のカレー」。
さらさらのスープの底に泳ぐたくさんの豆を麦入りのごはんとともに口に入れると、ほのかな酸味と甘さと豊かなうま味。そして鋭い唐辛子の辛さがついてきます。
このかすかな甘酸っぱさと重層的なうま味がこれまでにない味わいなのです。
これまで、ひよこ豆のカレーなんておいしいと思ったことないだけに衝撃を受けました。
ふたつのカレーを一緒に盛る「ダブル」のもうひとつは「ビーフカレー」。
角切りで硬めに煮込まれた牛肉が入るほか、やはりすべてが液体のカレーはまた味わいが異なり、これもまたスパイシーで魅惑的。
「ひよこ豆」がいちばん辛くて唐辛子マーク5つで、「ビーフ」は3つだったのですが、そんなに差はないくらいに汗がにじみ出てきます。
真ん中にロックフィル式ダムのように美しく横たわる大盛りご飯を両側から削り取るように食べていく作業も、遠い昔の砂遊びのようで楽しくてしかたありません。
この店があるのは、新宿御苑前駅から歩いて5分くらいの場所。「富久クロス」という超高層マンションのふもとです。
バブル期に地上げのターゲットになったもののバブル崩壊で虫食いのまま20年間放置され、近年やっと再開発が完了した「富久クロス」。
そのふもとの、昔ながらの木造店舗兼住居の古びた店。正直そのくたびれ具合からはとてもおいしそうには感じられない店です。
店内はL字型のカウンターに10人ほど。背中合わせに壁に作られたカウンターに5人ほどの小ささ。夫婦ふたりで仕切っています。
あまりのおいしさにまたやってきた翌日。頼んだのは「チキンカレー炙りチーズ乗せとなすとトマトのカレー大盛り」です。
少し残念だったのは、チキンカレーがほんの少しぬるかったこと。チーズを乗せてバーナーで炙るのでしょうからむしろ熱いかと思ったのですが、逆に少しぬるかったのは意外でした。
ひとくち大の鶏肉がゴロゴロと入るほかはやはりきれいなスープ状のカレーはやや黄色っぽく、香りもインド風でおいしいだけにカレーは熱々をはふはふ言いながら食べてこそおいしい食べ物であると再認識しました。
そして、「なすとトマトのカレー」。
なすがきれいな形を保ったままとろっとろ。口に入れると甘みを舌に残しながらとろけていきます。これは驚き。皮むきされたトマトも同様で、これらの甘さがカレーに溶け込み爽やかさを加えています。
よくある、ベースはまったく同じで具だけビーフだのチキンだの冷凍野菜だのと載せるだけのチェーン店のカレーとは天と地ほども違う本物のカレーです。
ぜひ一度、この店のカレーを食べてみてください。こんなに豊穣な味のカレーがあったのか、と驚きますから。(営業はランチタイムのみです)
「けらら」(新宿御苑前・カレー)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130402/13006680/