ハンバーグと言うにはかなり下味が強く、かたまり感も弱い。
箸で触るとボロボロっと崩れる感じ。でも、たしかにおいしいのです。
銀座一丁目の駅から東に一直線。中央通りを越え、昭和通りにたどり着いて右に折れると店があります。
このあたり、古い木造の家が古美術店だったりして、昔の面影をわずかに残す場所。
ここで昔ながらのハンバーグが存在し続けるのもある意味当然のような気がします。
店名のAOIは『エーオーアイ』と読み、「愛する人をお腹いっぱいにする」の略だそう。まあ後付けでしょうが、企業理念としてはとてもいい感じです。
メニューはハンバーグだけ。ソースの違いと個数の違いしかありません。あとはハンバーグカレーにつまみがあったっけ、って感じです。
最初にランチで訪れた際に注文したのがこれ。「ハンバーグライス」(890円)。この店の標準のメニューです。
やや大きめのハンバーグに目玉焼き。「激ウマ和風ソース」と名付けられたソースが特徴的で、ニンニクの香りがけっこうします。たっぷりの玉ねぎをベースに醤油など18種類の素材で作られているというソースはたしかにおいしく、ハンバーグの濃い下味と相まってご飯が止まらなくなります。
肉は、すじ肉をミンチにしたもの。すじ肉を使うのは味があり、なおかつ安いため。安い素材でおいしく安く提供することを誇りとしているそうで、その心意気にこちらも嬉しくなってしまいます。
そして数日後、こんどは夜に訪れました。安い定食がメインにもかかわらず、銀座の真ん中で23時まで営業しているのです。なんとグラスビールも1杯目は300円。
今回頼んだのは「ぜいたくダブルハンバーグ」(1,540円)。その名のとおり、ハンバーグがふたつ。ひとつは「激ウマ和風ソース」で、もうひとつは「デミグラスソース」です。
デミグラスのほうにはチーズも載せてもらいました。よくあるピザ用のとろけるチーズではなく、昔ながらのプロセスチーズといった感じ。味が濃くておいしい。
ソースはよくできたデミグラスソースではありますが、やはりおいしさでは「激ウマ和風ソース」のほうが上でした。
ただでさえ大きめのハンバーグを2個ですから、その満足感は相当なもの。ビールと足しても2,000円いかずにこの満腹感はとくに銀座では貴重でしょう。
濃い下味の、ボロボロっと崩れるかなり異端のハンバーグではありますが、ソースのうまさがすべての欠点を覆い隠して余りあるほど。
銀座の中心街からはかなり離れますが、ぜひ一度訪れ、この独自の味を試してみることをお勧めします。
「AOI」(銀座一丁目・ハンバーグ)
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