【閉店しています】
この店の味を引き継いだ店があるそうです。
ほんと、10年ぶりくらいにこの店の「排骨担々麺」を食べました。
で、10年前の写真と比べてみたのですが、
けっこう色が違うのにびっくり。昔はこんなに赤いスープだったんだ…。
色の違いの最大の原因は、どうやらゴマのペースト・芝麻醤(チーマージャン)の量のようです。昔はほとんど入ってないように見えた芝朝醤が、けっこう大量に入っています。
芝麻醤が浮かんでいない部分は、昔と似た赤さの鶏ガラベースの醤油味スープ。
10年前の味を克明に覚えているわけはないのですが、ゴマの甘さが加わった以外、味自体はさほど替わったという感じはしませんでしたから、「改悪」ではなさそうです。
しかし、芝麻醤が浮かぶ担々麺は、実は日本特有のもの。
中華の鉄人として知られた「四川飯店」の陳建一氏の父・陳建民氏が、戦後すぐ日本で手に入る材料をもとに日本人に合うようにと苦労して作り上げたものが現在、私たちが普通に見る担々麺の原型であって、胡麻ペーストである芝麻醤を多く使うことと、スープが多く、いわゆる汁そばスタイルになっていることが特徴となっています。
それに対し発祥の地・四川の担々麺は汁がほとんどなく、花椒(山椒)を多く使うことで唇が痺れるような、唐辛子とは違った辛さを味わうものとなっています。
つまり、この店の担々麺は芝麻醤をほとんど使わないという点でかつて異端であり、それゆえに人気があったのですが、時代は徐々にそのとがった部分をまるめていったということでしょう。
10年前はチンゲン菜だったのが、いまはほうれん草に替わっていたりと簡素になった部分がほかにもありました。
しかし、排骨(パイコー/パイクゥ)のうまさは変わらず。
豚のあばら肉に下味をつけ、薄い衣をつけて揚げたもので、脂身のうま味がじゅっと染み出してくる感じ。これなしでこの店の担々麺を食べる気がしないほどです。
スープの色や付け合わせの野菜など、いくつか変わったものの、この排骨をはじめ根幹は変わらず。やっぱりうまい担々麺でした。
この店があるのは、渋谷駅南口を出て246をまたぐ歩道橋を越えたすぐ下。
外観も10年前と比べてみたら、色が変わってました。
昔は黒かったんですね。忘れてました。
しかし店内はほとんど変わっていませんでした。大きなコの字型のカウンターのなかに広々とした厨房。
食べ放題の高菜の漬物にサービスのライス。
最近、国産高菜の需給がひっ迫しているとか。なんでも大手コンビニがごぞって高菜入りのおにぎりを販売し始めた影響とかで、博多のラーメン屋のなかには名物のからし高菜を提供できなくなったところもあるとか。
そうしたなか、変わらず高菜が食べ放題というのは嬉しいものです。(中国産なのかもしれませんが)
麺は弾力があり、ゆで加減もやや硬め。
多少変化はあったとはいえ、10年ぶりに食べる担々麺の満足感は変わりませんでした。
いまや広島から始まった「汁なし担々麺」のブームは、本場四川からの直行を含めて東京を席巻し始めていますが、それでもなお昔から愛されてきたこの汁ありの担々麺も捨てがたいものだな、と感じました。
一度はぜひどうぞ。
「亜寿加」(渋谷・担々麺)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13001715/