七輪の上のホルモンからしたたる脂が燃え、もうもうと立ち上がる煙。
「孤独のグルメ Season3」第6話でも井之頭五郎があまりの煙たさに堪りかね、店の外に避難したほどです。
以前、私が訪れたときも煙がすごく、反対側の壁が見えなくなりました。排気がまったく追いついてないのです。
ところが今回、なんと煙がない。超強力な排気システムを導入し、七輪のすぐ上から煙を吸い込むようになっていました。煙にむせるのもまたこの店ならではの楽しみだっただけにある意味、寂しい気もします。
しかしデカくてふわふわのホルモンのおいしさは変わっていませんでした。
まず皮からしっかり焼き、裏返して脂の方をさっと焼く。皮8割、脂2割の比率で焼くと、舌の上でとろけるかのようです。ほかの店のちまちました大きさと硬さのホルモンはなんだったろう、というほどの違いです。
この店があるのは、板橋。かつて池袋と赤羽を結ぶだけで、間に2駅しかなかった超マイナー路線・赤羽線。
いまは埼京線の一部となっていますが、この区間だけはやはり赤羽線と呼びたい独特の雰囲気があります。
その「赤羽線」で池袋からひと駅の板橋駅から徒歩5分。昭和そのままの大衆食堂があったりとタイムスリップしたかのような街のなかに、やはり時が凍ったかのようなホルモンの店がありました。
ガラガラっと木の引き戸を開けると、土間。細いパイプのテーブルと椅子。
この薄暗い店内はほぼ変わらず。ただ世代が替わったのか、スタッフに若い女性が増えています。
注文したのはまずホルモン(塩)。そして、こめかみ(かしら)を。この、こめかみのうまさも出色でした。大きめのサイコロ状の塊をさっと焼いて頬張ると、しっかりした肉の歯ごたえとジューシーさがあってこれが正規の肉として扱われてこなかったことが不思議なほど。これもまた食べるべき一品です。
塩で焼くかタレで焼くかは店の方で各部位ごとにほぼ決められていて、また塩で焼いたホルモンは柚子胡椒がお勧めとされ、実際に食べてみると確かにおいしい。無駄に悩まなくていいシステムです。
そのほかハツもラムもレバもトントロもみんな新鮮でおいしい。その新鮮さを活かし、焼き方はあえてレア気味にするとこれまでにない体験ができることでしょう。
それぞれけっこう飲んで、締めに雑炊と焼きそばまで食べてひとり5,000円弱。
やはり安かった。そしてうまかった。
ホルモン焼きの店は多いとはいえ、ここのホルモンを食ってしまうとなかなかほかに行けなくなるほど。
とにかくまずはホルモン(塩)を食べに行ってみてください。
非常におすすめです。
「山源」(板橋・ホルモン焼き)
https://tabelog.com/tokyo/A1322/A132201/13025646/