久しぶりに来てみると、ずいぶんインターナショナルなお店になっていました。
この店には10年ほど前に何回も来たことがありますが、外国人を見ることはありませんでした。
先客に韓国人男性、次に英語をしゃべる若いアジア人女性、続いて韓国人男性、さらに韓国人男性2女性1のグループと、立て続けにやってくるのです。店も心得たもので、ハングルで書かれたメニューに英語版もあり、すっかり慣れたようす。今回訪れたのが平日の夜7時半ごろだったから外国人が多かった、というわけでもなさそうです。
この店は渋谷の道玄坂を上って右側にある「百軒店(ひゃっけんだな)」の奥まった場所。
ビルとビルの間の獣道のような路地を進み、左にあるビルの通用口のような入り口から入ります。
よくこんな場所に店を開いたとその勇気に感動しそうな場所。
店内はコの字というよりクの字のカウンターで、中央の島が厨房。部屋の隅に小さなテーブルはあるものの、よほど混まない限り使われてない様子です。
メニューは、様々なフライを2種類から4種類組み合わせる定食スタイル。2種類で650円、3種類で800円、4種類で950円。ごはん大盛りでプラス150円、お代わりだとプラス200円。どんなフライを注文しても個数で値段が決まるので非常に明快です。
選べるのは、とりかつ、とんかつ、ハムかつ、イカフライ、アジフライ、コロッケフライ、メンチフライ、かにクリーム、肉まきやさい、なすフライ、玉ネギフライの11種類(原文のまま)。ほとんどの客はとりかつととんかつは外しません。
今回私が頼んだのは、とりかつ・とんかつ・アジフライの3品でごはん大盛り。それぞれ小ぶりなのは値段からして当然でしょうが、意外に量があります。
アジフライは小さく身も薄いですが、ほくほくっとした身で生臭さがありません。塩加減もやや控えめ。スーパーで1尾100円ちょっとで売られてるアジフライのように大きくはありませんが、油っこさがありませんし、きちんとしたおいしさがありました。
とりかつも身がやわらか。鶏肉は火が通りにくいのですが、ひと口大にすることで早く揚げられるようにした感じ。衣もサクサクっといい感触で揚がっていて、食べていて嬉しくなります。
とんかつもひと口大で暑さ7ミリほど。とんかつというよりまさにひと口かつで、食べ応えはありませんが、味はしっかりしたもの。衣と身のバランスも良く、食べてて不満がありません。
あと、意外だったのはご飯の質です。たった650円の定食なのですから、ご飯は得体のしれないまずい米だと当然思っていたのですが、おいしいのです。普通の定食屋よりも米の質が高い感じ。大盛りで150円、お代わりで200円も取られることに納得できる味です。
久しぶりに通りがかり、いまだに650円を掲げていることから「安いけどそれなり」の味を想像して入ったのですが、いい意味で見事に裏切られました。
ただ、昔は必ずついてたレモンとその絞り器がなくなったのが少し残念ですが、まあじわじわと物価が上がり始めたいま、この値段で提供し続けているのですからあっぱれと言うべきでしょう。
安くてボリュームのあるちゃんとした食事を望むならば、渋谷では1,2を争うコストパフォーマンスの良さではないでしょうか。ぜひ訪れてみてください。