「小笠原がもし東京都でなくて静岡県だったりしたら、こんなに文化的な生活は送れていないでしょうね。」
これは、島のひとの話です。
たしかにこの、本土から千キロ離れた絶海の孤島でいま、水も電気もテレビ放送すらも不自由なく生活できるのは、東京都の豊かな財政力に支えられているからこそ。
たとえば島に運ばれる食料品などの輸送費は、都によってそのほとんどが補助されています。ですから島の店で売られる食品の価格が、内地(本土)より少し高い程度に収まっているのです。
一般の人々が使う宅急便もまた補助の対象。そのため、都心まで1000キロも離れていながら最短の近距離料金が適用されるのです。
繰り返しになりますが、こうした東京都からの手厚い補助があってこそ、小笠原の暮らしは支えられているのです。
ただ、それにしては高いなぁ、と感じるのがこの島の飲食店の料理の平均的な値段。
たしかに人口が少なく、島の人々にも外食の文化がそんなにないなかで採算をとっていくのは難しいこと
もしれませんが、それにしても本土とは感覚的に10%から20%、定食にして100円から200円程度違う感じがするのです。
「波食波食」と書いて「パクパク」と読ませる、定食や麺類が中心のこの店も、残念ながらそう。
とくに「島魚フライ定食」や「波食波食チャンプル定食」「島魚海鮮丼」など、観光客が選びそうなメニューのコストパフォーマンスに疑問符がつきます。
味が悪いわけでもなく、それなりに一所懸命に作っているようなのですが、それでもすっきりしない何かが残るような価格設定なのです。
しかしこれが一般的な大衆食堂メニュー、たとえば「しょうが焼き定食」や「タンメン」になると評価は一変。納得いく価格でおいしく食べられます。
まあ、「餅は餅屋」の諺どおり、島のおいしい魚を食べたければ隣の「丸丈」などに行けばいいのですから、この店で選ぶのは大衆料理に徹しましょう。
島で働く人々で賑わう店として、普通の外食メニューを食べたくなったら思い出してください。
お勧めです。
「波食波食」(小笠原諸島父島・定食)
https://tabelog.com/tokyo/A1331/A133102/13050359/