“清く正しいニッポンの中華料理”のお店なのですが、なぜか客の3分の1が「かつ丼」を注文します。
そして二番人気がどうやら「オムライス」。
少なくとも、私が訪れた3回のランチタイムでは。
場所は西新宿の高層ビル街の端っこ。
十二社通りが青梅街道にぶつかるまさにその角にあり、周辺もこれからさらに超高層ビルに変貌していく地域です。
すぐ近くにある、昔ながらの古き良き幼稚園である「淀橋幼稚園」も来年春に閉園してしまうそうですから、この地域から人の暮らしの匂いは徐々に薄れていくのでしょう。寂しい限りです。
しかしそんな地域にあっても、昼時には行列のできるこの店。
一番人気の「かつ丼」はボリューム満点でしかも”つゆだく”が最大の特徴なのです。
かつ丼は、一見同じ卵とじでもつゆに地域性が出てくるもので、”つゆだく”は九州の専売特許のようなもの。
ただ、この店は昭和40年代にはあったといいますから直接九州とのつながりはないのかもしれませんが、まさに九州を彷彿とさせる”つゆだくっぷり”は、私なんかにとっては懐かしさすら覚えます。
味はちょっと濃いめ。
カツは分厚いわけではありませんがしっかりとしたもの。ただそれをとじる卵の量が半端ではないため、カツが埋もれてしまい、存在感をいまひとつ発揮できないといった感じでしょうか。
一緒にとじてある玉ねぎなども飴色にくたっとなっていて甘くおいしく柔らかく。
ご飯がちょっと半端でない量で、押し込んである感じ。
30代とおぼしきサラリーマン男性が「ご飯少なめで」と注文していたのは正解だと思えるほどでした。
餃子は大きさは普通。具もしっかり詰まっていて具そのものにしっかり味がついている感じ。
6個で400円と安くはないものの、名脇役といった感じです。
また、別の日に頼んだ「あんかけラーメン」はこれがくたっと煮込まれた白菜がおいしく、寒い日ならぜひにと勧めたくなる一品。
スープも基本に忠実な素朴な味で、食べ飽きることがありません。
さらに定食類の「レバの味噌炒めライス」はレバーがしゃくしゃくっとした歯触りで美味。新鮮な物をしっかり処理しているのでしょう。ただ、ちょっと味が濃くて最後の方でつらく感じることもありましたが。
料理の味は全体的に濃いめというかばらつきがあり、そこが唯一の難点といえば難点ですが、それでも“清く正しいニッポンの中華”の魅力が褪せる訳ではありません。
西新宿にきらりと光る、古き良き店のひとつとして必ず覚えておくべき店だと思います。
ぜひ一度行ってみてください。
「登喜和」(西新宿・中国料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130401/13057711/