いよいよ公示された衆議院議員選挙。
マスメディアは”政権選択の選挙”とはやし立て、
民主党政権の誕生が確実であるかのような騒ぎです。
しかし、本当に民主党は勝てるのでしょうか。
たしかに、前哨戦と言われた東京都議会議員選挙では民主が大勝し、
惨敗した自民党は第一党の座から滑り落ちました。
ただ都議は、一般の都民にとっては普段の生活で会うこともなく、
メディアへの露出を見かけることもない、議員としては中途半端な存在。
つまり、投票所に行っても選ぶ尺度が政党名しかないのです。
それに対し、衆議院議員の場合はメディアへの露出を通じての
候補者個人の知名度があります。
たとえば、東京一区の与謝野馨と海江田万里。
有権者は、政治家としてどちらの実績をよく知っているでしょうか。
また、各メディアの世論調査の政党支持率を見ても、
自民と民主の支持率の差はわずかに数ポイント(パーセント)しかありません。
“一票でも多く取ったほうが総取り”の小選挙区が300議席を
占めるとはいえ、このポイント差で地滑り的勝利が起こるとは
どうしても考えにくいのです。
しかも自民の連立相手に手堅い組織選挙をする公明党がいることを
考えると、そうやすやすと大敗するとは思えないのです。
そもそも、日本人の投票行動の基準は半世紀以上にわたって
「自民に入れるか入れないか」です。
けっして「自民党か○○党か」という選択ではありませんでした。
たとえば、ロッキード事件後の第34回総選挙(1976)での自民党過半数割れ。
政治改革をめぐって争われた第40回総選挙(1993)の結果の自民党下野。
これらの投票行動は、いわば自民党に対する「お仕置き」でした。
とくに空前の新党ブームとなり、のちの細川連立政権樹立につながった
第40回総選挙は”新党ならばどこでもいい”と言わんばかりの
票の分散ぶり。
これは裏返せば、有権者が積極的にどこかひとつの政党に
政権を取らせたかったわけではない、ということです。
一方で、第二次中曽根内閣による衆参同日の第38回総選挙(1986)と、
前回の”郵政解散”の第45回総選挙(2005)はともに自民党の圧勝。
これも言ってみれば自民党に対する「好きか嫌いか」の人気投票でした。
つまり、戦後半世紀にわたる日本の選挙は常に
「自民に入れるかどうか」が最大の問題であり、
勝とうが負けようが、選挙の中心は自民党だったのです。
今回の選挙も、各種統計によって景気回復が裏付けられ、
株式相場などが回復していくようであれば、それらを追い風に
どれだけ自民党が盛り返せるかが焦点となっていくでしょう。
一方で、そもそも”風”頼みの選挙しかしたことのない民主党は
政権交代確実であるかのような報道のなかで、必ず緩みや甘さが
出てくることでしょう。
結果として、民主党は比較第一党になったとしても過半数は難しく、
単独はおろか、社民・国民新・新党大地などと組んだとしても、
自民と公明の合計を上回れない可能性すらあるような気がします。
(もちろんこれは、私個人の勝手な予想です。)
しかしそれは、国会がまったく機能しなくなる
最悪のシナリオであることも、また事実なのですが…。
この文章は「とっておき!!のねごと。」からのものです。
http://www.totteoki.jp/negoto/