東芝はきのう(10日)、ブルーレイ・ディスク・アソシエーション(BDA)に
加入すると発表しました。(プレスリリース)
つまり、東芝がブルーレイディスク(BD)の軍門に下り、早ければ年内にも
BDプレーヤーやBDドライブ内臓のパソコンを製造・販売するということ。
こうして 2002年から続いてきた次世代DVD規格競争は、
東芝の完全敗北という形で終焉を迎えました。
そもそも、ソニー・松下(パナソニック)連合を相手に規格戦争をしかけたことが
無謀であり、客観的に見れば最初から結末がわかっていたこの戦い。
かつてのVHS対ベータのように、ソフト(録画テープ)が各家庭に蓄積されて
からの決着ではなく、普及の初期において雌雄が決したことは
歓迎すべきことです。
しかし、これでめでたしめでたし、としていいものでしょうか。
ここで、忘れてはいけないことがあります。
東芝でHD-DVD開発を陣頭指揮してきた藤井美英執行役上席常務は
2006年3月、最初のHD-DVDプレーヤーを発売したとき、
こう大見得を切っています。
「BDの方が規格として優れている可能性がないわけではない。
そのときには土下座して謝りたい。」(NIKKEI NET 2006年3月31日)
この”宣言”からわずか2年後。
東芝はHD-DVDから撤退してしまいます。
普及の初期だったとはいえ、HD-DVDを購入した消費者は累計で
数十万人に及びます。東芝を信じた彼らは、突然の撤退に裏切られ、
捨てられたのです。
その彼らに、藤井常務は謝っていません。
もちろん土下座もしていません。
べつにHD-DVDを購入したわけでもない私が、
彼に土下座を強要しようなどとは思っていません。
しかし、男が “負けたら土下座する” と、一世一代の大見得を切ったのです。
男として、ちゃんと落とし前をつけるべきではないかと思います。
もちろん、そのときに「規格としては劣っていなかった、ただ…。」
なんて言い訳が通用するはずのないことは彼もわかっていると思います。
この文章は「とっておき!!のねごと。」からのものです。
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