新宿の納豆があるとは知りませんでした。
「新宿小町」。
正真正銘の新宿区内、しかも新宿副都心の超高層ビル群のすぐ近くの
西新宿4丁目で作られている納豆です。
しかもこの納豆、私がこれまで食べたなかでいちばんおいしいのです。
見てください、この豆の美しさ。
つややかで光沢があって。
普段私たちが見る納豆は、ぐちゃっと潰され
見るも無残な形になっているというのに、
まるでさっき蒸し上がったばかりのようです。
実際に食べてみると、最初にわずかなエグ味が感じられますが
そのあとは大豆の甘味とうま味が口一杯に広がり、
粘りの強さも並大抵ではありません。
「国産の大豆を使ったいい納豆は、たれなんかつけなくてもおいしいんです。
だからウチではカラシだけつけています。」という
ご主人・高橋さんの言う通り、豆そのものの味がしっかり感じられる納豆。
朝は納豆ごはんさえあればいいという納豆好きの私でさえ、
こんなおいしい納豆は初めて食べました。
この納豆を作っているのは、西新宿四丁目。
超高層ビル群に取り残された、迷路のような細い路地のなかに
住居兼アパート兼工場がありました。
小さな紙の看板が唯一の目印。
ここで午後には直売もしています。
工場内を特別に見学させていただいたのですが、
製法はまさに昔のまま。
60年前の創業当時からずっと使い続けている圧力釜。
モノとしての貫祿があります。
こうして蒸し上がった大豆に納豆菌の入った水をふりかけ、
鍋をゆすって菌を行き渡らせる。
この製法も60年前のままです。
パッケージに詰めていくのも手作業。
かつては夜明け前から夕方まで、一日2万個もの納豆を
作っていたといいますが、卸先の街の豆腐屋の衰退とともに
その数は減り、いまでは一日一千個ほどになってしまったとのこと。
この店のラインナップの主力は二種類。
左が北海道産小粒大豆を使ったもの。
「新宿春風」というのは3月からのパッケージで、冬は「新宿小町」でした(冒頭の写真)。
右は同じく北海道産の大粒大豆を使った「まるひ納豆」。
黒豆くらいの大きさがあり、極小粒に慣れてしまった私たちは最初、
びっくりしてしまいますが、これはひとつのおかずとして食べると
その豆のおいしさに魅了されてしまいます。
お値段はどちらも85gで140円。
この豆の品質と味からしたら、おそろしく安いのではないかと思えてきます。
高橋商店納豆製造所
新宿区西新宿4-24-6
この納豆は、平日の午後、直売してくれます。
また、近くの十二社(じゅうにそう)通り沿いのコンビニ
「am/pm 新宿中央公園店」にも常備してありますので、
こちらのほうが日時を選ばずに買い求めやすいでしょう。
まあとにかく、だまされたと思って食べてみてください。
びっくりしますから。
この文章は「とっておき!!のねごと。」からのものです。
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