我が家に、スワンがやってきました。
これ、ずいぶん昔に私が作ったスピーカーです。
実家にずっと置いてあったのを”お取り寄せ”しました。
首が長く、白鳥のように見えることからその名が付けられたスワン。
かつて「FMfan」などにおいて絶大な人気を誇ったオーディオ評論家・
長岡鉄男氏が設計したスピーカーです。
“オーディオの神様”とまで呼ばれ、彼を信奉する読者は自らを
“長岡教信者”と自称するほどの影響力を誇った長岡鉄男氏。
スワンは彼の代表作であり、オーディオマニアにとってはいわば【信者の証】
とも言うべきもの。初代の発表から20年以上がたったいま、日本史上、
いやたぶん世界史上最も多く作られた自作スピーカーと言って
間違いないでしょう。
うちにやってきたスワンも、私がかつてオーディオ小僧だった時代に
長岡氏が雑誌に掲載した図面を持って東急ハンズで板を切ってもらい、
こつこつと木工用ボンドだけで組み上げたもの。
仕事の合間に作ったので一か月ぐらいかかったでしょうか。
まあ”青春の道標”と言うべきか”若気の至り”と言うべきか、
とにかく思い出深いスピーカーです。
このスピーカー、音が鳴るのは一番上の頭の部分についている
10㎝のユニット一発だけ。
(比較のため近くにいた子どもに一緒に写ってもらいました。本人および保護者の許可をとっています)
首から下は管状になっていて、上のスピーカーユニットからの音は
この筒を通って下の箱の部分に行き、中の迷路のような管を通り抜けて
後ろから出てくるようになっています。
金管楽器のホルンやチューバのように、徐々に広がっていく
長い管を通っていくことで、低音が出るようにする仕組み。
このスタイルのスピーカーをバックロードホーンといいます。
一般的に、スピーカーは直径が大きいほど低音が良く出るにもかかわらず、
このスワンはたった10㎝のスピーカーユニット一発で、信じられないほどの
低音をモリモリとひねり出すことで知られていました。
ところが、我が家にやってきたスワン、低音があま出てきません。
昔はもっとモリモリ出ていたはずなのですが…。
センターキャップ(真ん中の丸いふくらみ)のへこみは昔、甥っ子たちが
イタズラしてつぶしたものですが、これ自体はそんなに大きな影響は
ありませんでした。
どうやらユニットそのものがくたびれてしまったのでしょう。
ユニット交換してどの程度音が変わるのか。
また”長岡教信者”の日々が始まりそうです。
この文章は「とっておき!!のねごと。」からのものです。
http://www.totteoki.jp/negoto/