この週末は、バック・トゥ・ザ・フューチャー
三昧でした。
ずいぶん忘れてしまっているものだなぁ、と
感慨にふけりながら見ましたが、この映画の
“隠されたメッセージ” はあらためて確認する
ことができました。
それは、
「アメリカよ、しっかりしろ」。
これはおそらく、
スピルバーグが込めたメッセージです。
1985年ごろの米国は、台頭する日本に怯えていました。
自動車、半導体、テレビ、ビデオ、家電製品、
そして企業買収に不動産買いあさり…。
当時の我々でさえ「そのうち米国を抜く」と
本気で思っていたのですから、米国民の焦りと
なかば諦めに似た気持ちは全米を覆いつくして
いたことでしょう。
この映画でも、主人公の少年が憧れるクルマは
TOYOTA、ビデオカメラはJVC(ビクター)と
1985年の米国の現実が随所に散りばめられています。
さらに映画の中の2015年では、成長した主人公を
“Fujitsu Ito” という謎の日本人上司が
30年後の主人公を叱り飛ばして、クビに。
また1955年では、故障した集積回路を見て
「やっぱりメイド・イン・ジャパンだ」と蔑む
ドクに対し、1985年から来た主人公が
「日本製品は最高だぜ」と返すシーンが印象的。
つまり、この映画の隠しテーマはまさに
“日本そのもの” だったのであり、自ら監督した
「1941」という駄作でも日本への敵愾心を
隠さなかったスピルバーグが、すべての米国民に
奮起を促したのです。
「アメリカよ、しっかりしろ。
世界一のスーパーパワーだった栄光の時代を取り戻せ」と。
それから30年。
プラザ合意に始まる経済戦争を仕掛けた
米国は勝利し、日本は長い低迷を味わいました。
その間に中国が台頭し、世界は映画の予想とは
違ったものになりました。
民主主義を奉じる同盟国を蹴落とした結果、
一党独裁の人権弾圧国家と正面から対峙する
ことになった米国。
その戦略の誤りの出発点が、まさにこの映画の
舞台となった1985年だったのです。
この文章は
「とっておき!!のねごと。」からのものです。
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