それでもなお、あなたはこの曲が素晴らしいと
思いますか?
かつてこの「HIROSHIMA」という名の曲を絶賛していた
人々、とくに音楽評論家と称する連中に、あらためて
尋ねてみたいと思います。
手のひらを返したように評価を変える者、
「あらためて聴いてみたら大したことなかった」などと
言う者がいたら、そいつもまた詐話師の仲間です。
実はちゃんと耳が聞こえているのに「全聾」を装い、
他人に作ってもらった音楽を自分の曲として発表、
“現代のベートーヴェン”を自称していたという
佐村河内守氏。
こうした詐話師は、日本社会においてときどき登場しては
消えていきます。
2年近く前に iPS細胞の臨床応用に成功したと称して
読売新聞に恥をかかせた森口尚史氏。
マンションの耐震強度偽装事件で、ありもしない話で
第三者を巻き込んだ姉歯秀次元建築士。
犯罪心理学によれば、一度ついたウソがばれないと
人はどんどん大胆なウソをつくようになり、最後には
自分だけは永遠にバレないんだと信じ込むのだとか。
佐村河内氏もまた、そのひとりに過ぎなかったという
ことでしょう。
しかし、その”彼の音楽”を讃え、心酔していた人々が
いたのも事実。
彼らはいったい何を聴いていたのでしょうか。
結局のところ、被爆二世だから、耳が聴こえないから
「かわいそう」という先入観のバイアスがかかった上で
「お情けの評価」をしていたということなのでしょう。
今回、ゴーストライターが作曲したことを知り、
手のひらを返したように評価を変える人間がいるのだと
したら、その人間の”耳”はニセモノだということです。
私自身はそもそも障害をウリにするような人間は嫌い
ですので、”彼の音楽”は最初から聴きもしませんでしたし、
彼を取り上げる番組など見向きもしませんでした。
ですからきょう初めて、問題となった「HIROSHIMA」を
聴いたのですが、ドビュッシーとストラヴィンスキーを
足して2で割ったような音楽だとしか感じません。
作曲の技術があるのは認めるにしても、せいぜい
出来の悪い大河ドラマのテーマ曲くらいの価値でしょうか。
「それでも音楽そのものは素晴らしい」。
もしそう主張する人がいたら、私は評価します。
その信念を。もしかしたら単なる強がりを。
しかし、このレベルを素晴らしいと言ってしまうあなたには
ちゃんとクラシックを聴いたら?と言ってあげたいと思います。
この文章は「とっておき!!のねごと。」からのものです。
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