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佐賀の秘技・餅すすり。

2014.01.21

日本経済新聞社の「食べB」が佐賀県編に突入した
ので、佐賀の食についていろいろと思い出したり
考えたりしています。

佐賀県の食の文化を語る上で忘れてならないのは
県南西部に伝わる秘技・「餅すすり」でしょう。

 

これはつきたての熱々のお餅をぬるま湯にくぐらせ、
そのまま両の手のひらで細い棒状に伸ばしながら
口の中に連続投入していくというもの。


噛みません。ごっくんと飲み込んだりもしません。
ただ吸い込むようにして、かつ押し込むようにして
喉を通していくのです。
その長さ、最大で2メートルはあったでしょうか。


表面に水の層がありますから、餅は喉に引っかかる
ことなく胃の中へ。そのときの喉越しがもう、
えも言われぬ快感なのだそうです。

鹿島市の母方の祖父がこの「餅すすり」の
“達人”でした。

子どものとき暮れや正月に遊びに行くと、
餅つきのすぐ横でいつもすすっていました。


「やってみんしゃい。うまかけん」と祖父からは毎度
誘われましたが、さすがに怖くて全力で遠慮しました。

日本全国で佐賀だけにしか見られない奇習「餅すすり」。
ある意味、地平線が見えるほどまっ平で稲作に適した
佐賀平野の豊かさゆえの食べ方(飲み方?)だったの
でしょう。


とはいえこの「餅すすり」、快感と引き換えにやっぱり
危険で、年末年始のこの季節になると一度や二度は、
「佐賀県で、餅すすりをしていた老人が餅を喉につまらせ
亡くなりました」というニュースが九州ローカルで流れます。


このニュースが流れる季節になると、私は今はなき祖父の、
さもうまそうに餅をすすってた姿を思い出すのです。

この文章は「とっておき!!のねごと。」からのものです。
http://www.totteoki.jp/negoto/

みんみん(♂)とっておき!!支配人

福岡県生まれの九州男児。中学高校とブラスバンドに所属し、高校のブラスの先輩がタモリさんというのが数少ない自慢です。メディア関係の企業に就職し、転勤族だったため各地のおいしいお店を探して食べ歩きを始めたのがこのウェブサイトの原点。現在は、映像関係の会社を営んでいます。

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