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東京とっておき! !

軍艦島。 その2

2010.08.22

 

長崎の沖に、廃墟となったコンクリートの島がある――。


軍艦島の存在はずっと前から知っていましたが、
実際に行くまでが大変でした。

 

 

 

炭鉱が閉山した昭和49年(1974年)以来、30年以上にわたって
無人島となった軍艦島。

近代化遺産としての価値が認められ、上陸ツアーが始まったのは
去年(2009年)の春からでした。

折からの廃墟ブームもあり1年間に6万人近くの人々が上陸する
人気となりましたが、問題は欠航率の多さと上陸可能性の低さ。

長崎から船でわずか30分あまりの場所にあるとはいえ、
軍艦島は外海に浮かぶ島。東シナ海の荒波にもまれ、冬は北から
季節風に直接さらされる島なのです。

上陸できるのは、年間通して100日ほどしかないといいます。


大きな地図で表示

今回、私は何がなんでも軍艦島に上陸すべく、当時すでに
予約が埋まっていた日を除く8月10、12、14、15に
順次予約を入れ、万全を期したつもりでした。

ところが10日に台風が来てから欠航続きで、14日までの
予約便はすべて欠航してしまいます。

もう夏休みは残っていません。
最終日に一縷の望みを賭けて15日の早朝、長崎に向かいました。

JR九州の特急は、ヨーロッパスタイルのデザイン。

国鉄民営化の際にボロい車両を押しつけられ、更新時期が
早く来たのを逆手にとって、斬新なデザインの新型車両を投入。

いまでは九州は「観光列車王国」と呼ばれ、
鉄道マニアの憧れの地となっています。

しかし快適な列車の旅とは裏腹に、この時点ではまだ予約した
午前9時発のツアーが運航するかどうか決定していません。

祈るような気持ちの私を乗せ、
「かもめ」は有明海に沿って走り続けます

日本一の干満の差が独特の風景を織りなす有明海。
奥に見える山は島原半島の山々です。

8時過ぎ。
諫早付近まで来たところで欠航が決定しました。

しかしもう長崎に行くしかありません。

長崎に着いてみると街は龍馬だらけでした。

上陸ツアーは欠航したものの、軍艦島の周囲をまわる
「軍艦島クルーズ」は出航するということでしかたなくそちらを購入。

「わざわざ長崎まで来たんだから…。」と大部分の客が
こちらに乗り換えているようでしたが、船会社としては
欠航してもこちらに客が流れるのならば損はありません。

なんか騙されているような釈然としない気分を抱えながら
乗船しました。

長崎港の入口にかかる女神大橋を過ぎ、
伊王島をかすめると一気に波が荒くなってきます。

出港からおよそ30分。

前方に軍艦島が見えてきました。
写真の丸い島の右、四角い塊です。

船に乗り込んだとき、島の周りをどっち方向に回るのかを
乗組員に聞き、左回りという情報を仕入れておきました。

左舷側の席に陣取ったおかげで、島の姿は真正面に見えます。

ここからは、長崎港ターミナルにあった模型と比較しながら
見ていこうと思います。

これが島の全景。
南側から見た俯瞰です。

中央を貫く岩をはさんで、島は大きく北西側と南東側に分かれて
いますが、こちら南東側は石炭採掘のための施設が集中したところ。

閉山に伴い設備は撤去されたためほとんどなにも残っていません。

上の写真の右端(北東方向)に回り込んでみたのが下の写真。

小中学校跡です。高島町立端島小中学校跡。

狭い敷地だったため7階建てで、下が小学校で上が中学校。
給食用のリフトはあったそうですが、エレベーターはなかったそうです。

下の模型では左の建物が小中学校。

模型の右半分が下の写真になります。

右奥が65号棟と呼ばれたこの島最大の住宅棟。

戦争中に建設され、昭和20年に完成したこの建物は9階建て。
コの字型をし、300を超える世帯が暮らしていたそうです。

右端は病院。結核などのための隔離病棟もありました。

大きな公園と火葬場、墓地こそありませんでしたが、
それ以外の生活に必要な施設はすべて揃っていたとか。

船は、さらに島の右手(北側)に回り込んでいきます。

上の模型の、矢印の方向から撮ったのが下の写真。

奥にそびえ立つのが先ほどの65号棟。
手前に並ぶアパート(5階建て)と比べるとその巨大さがわかります。

島の北西側には、鉄筋コンクリート住宅がひしめき合うように
建ち並んでいます。

上の写真の中央部分が、この模型のあたり。


 

先ほども書きましたが、生活に必要なものはほぼすべて揃っていた
という軍艦島。

下の模型の、水色の屋根は映画館。赤い屋根は寺院です。

しかしこれらは木造だったため、すでに倒壊してしまっています。

自然の力の大きさをまざまざと見せつけられます。

午前中のツアーではこのあたり、島の北西で島影がシルエットとなり、
まさに軍艦のような異様な姿を堪能することができます。

大きな画像をご覧になりたいかたは上の写真をクリックしてみてください。

巨大パノラマ画像が見られますので。

そして船は島の南側に。

先の記事でも書いた、同潤会アパートよりも古い
日本最初の鉄筋コンクリート製集合住宅・30号棟。

大正5年(1916年)完成ですから、築94年。

壁はすでにほとんどが崩落し、柱もゆがんで見えますから
もう先は長くないでしょう。

南東側から見える岩山。

神社の本殿だけがぽつんと残っています。

鳥居も、木造の拝殿も崩壊してしまっています。

神様も少々さびしかろうに、と心配になります。

島じゅうに張りめぐらされていたという通路や階段も
崩壊を続けていました。

ここまで見てきた建物を、模型に落とすと下のようになります。

小さな島に、いかに多くの建物がひしめいていたか
わかってもらえるでしょうか。

海に浮かぶ廃墟の島。

容赦なく吹きつける風と駆け抜けていく時の流れは、
人々の営みの記憶さえも朽ち果てさせようとしていました。

ぜひまたもう一度訪れ、島をこの足で踏みしめてみたいと思います。

みんみん(♂)とっておき!!支配人

福岡県生まれの九州男児。中学高校とブラスバンドに所属し、高校のブラスの先輩がタモリさんというのが数少ない自慢です。メディア関係の企業に就職し、転勤族だったため各地のおいしいお店を探して食べ歩きを始めたのがこのウェブサイトの原点。現在は、映像関係の会社を営んでいます。

コメント

  • より:

    この程度の波で上陸中断ですか・・・・
    私ら磯釣師から言わせてもらうと、
    絶好の条件なんですけどね。
    多分瀬渡し船は、ひそかに上陸させてると
    思いますよ。

  • みんみん(♂) より:

    そうなんですよ、たいしたことない波だったんですがねぇ。
    でも隣のカップルのあんちゃんは、思いっきり船酔いしてました。
    あの程度の波で酔うなんて、男として失格ですね。
    私のように小笠原諸島から東京まで親潮を横切って、
    6mの波を25時間半経験してこそ「男の中の男」と
    いえるんじゃないかと思いますよねぇ。
    でも秀さん、うらやましいんでしょ?

  • より:

    船酔いは船の大小・波の高低・乗船時間に関係なく襲ってきますよ。
    まぁもともと感覚が鈍いので・・・ってことはあるでしょうがねぇ。
    もう20うん年前になりますか、男女群島に初めて渡礁したとき、
    船頭から「早く飛び降りろ!」と叱咤激励?され、諦めて帰ろうかと
    思いましたもんね。
    今度一緒に行きます?後ろから突き飛ばしてあげますから。

  • みんみん(♂) より:

    そういう書き方をするということは、秀さんってば
    船に弱いほうなんですね?
    「自分抜きでは広島の海は自由にさせない」とか
    言っておきながら、船に弱いなんてまあ…。
    波おだやかな瀬戸内海・江田島に生まれ育ったから
    ちゃんと鍛えられてないとか?

  • より:

    船酔いは別に恥ではありませんよ。
    7時間かかる男女群島への渡船では船酔いしたことありませんが、
    1時間の九州沖ノ島(宗像大社のある島)では船酔いしましたからね。
    ま、でも二日酔いの延長だったかも・・・・
    親戚の医者は戦時中海軍の軍医だったんですが、真珠湾攻撃の
    時の駆逐艦では酔わなかったのに、ミッドウェーの時遥かに
    大きい空母では、傍らにドラム缶置いて吐き続けたそうです。
    船によって微妙に揺れが違うそうで、それが自分の感覚と会わないと
    酔うみたいですよ。
    漁師で船酔いする人って、聞いてみると結構いますからね。
    鍛える云々とは関係ありません。
    9月の11日にその沖ノ島に行くんですが、ご一緒します?
    玄界灘の三角波を経験させてあげましょう。

  • みんみん(♂) より:

    沖ノ島に行く船で秀さんが酔ったのは、あの島に神様がいるからでしょう。
    日頃の悪行の報いですよ。
    私は大丈夫です。たぶん。
    小笠原の若い漁師も、最初の頃はひどく酔ってたって言ってました。
    あそこは島のまわりがすべて外海ですからね。
    いまでも酔う感覚はあっても吐くことはなくなったそうです。
    一種の慣れなんでしょうね。
    「アネロンニスキャップ」は死ぬほど効く酔いどめの薬ですよ。
    船によわ~い秀さんもぜひ。

  • より:

    大丈夫、船酔いに利くツボを教わってますからね。
    今はゼンゼーン平気ですよ。
    因みに沖ノ島本当は上陸禁止です。
    本島周りの岩礁に渡るんです。
    本島に渡るには素っ裸になって禊をしなくてはならないそうですよ。

  • みんみん(♂) より:

    沖ノ島が上陸禁止なんて、福岡出身ですから知ってますよ。
    でもバチあたりな秀さんのことですから、実際は
    こっそり上陸していろいろくすねてきてるんじゃないですか?

  • より:

    上陸したくっても、渡船屋の船長が拒否しますよ。
    なんせ宗像大社は海の守り神ですからね。
    20年くらい前、大阪の釣り人が男女群島で海亀を捕獲し、
    渡船に持ち込もうとしましたが、船長はガンとして
    拒否してましたね。海の神様のお使いだから、船が
    沈んでしまうとか言ってました。
    結構信心深いのが多いんですよ。わたしゃ浄土真宗ですけどね。
    因みにその大阪の釣り師はその海亀食べようと
    思ったらしいですよ。スープにすると美味しいとか・・・・

  • みんみん(♂) より:

    ウミガメは小笠原諸島で食べられますよ。
    煮込みをはじめ、刺身(ルイベ)にレバ刺しも。
    <a href="http://www.totteoki.jp/shibuya/charitei.htm" rel="nofollow">http://www.totteoki.jp/shibuya/charitei.htm</a>
    欧米の捕鯨船にとってウミガメは貴重な生肉だったそうで、
    彼らが島に伝え、それが島の伝統として残ったようです。
    現在は伝統的な食文化ということで、東京都が
    年間の上限を決めて捕獲を認めていて、島では普通に
    店で食べることができます。なかなかおいしいですよ。
    秀さんも一度行って食べてみてはいかがですか?
    釣果が上がりますよぉ。

  • より:

    海亀のスープは何度が食べたことありますが、
    刺身は未経験ですね。
    出来たらお土産でお願いします。
    そうそう、海亀スープは清朝の西太后の
    好物だったとか。不老長寿の御利益があるそうですよぉ・・・・・・

  • みんみん(♂) より:

    いつぞや秀さんにお土産をお願いしても知らんぷりされた
    ような記憶があるんですが、気のせいでしょうか。
    ウミガメのスープは不老長寿ですか。
    父島に大平京子さんという“小笠原の歌姫”と呼ばれている
    女性がいるんですが、90歳近くになったいまでもお元気で
    毎日ゲートボール三昧、スクーターで島を走り回っています。
    ウミガメのおかげでしょうかね。
    “レモン林の甘い香りのなかで キスをしたのをお月さまが見てた”
    小笠原には素敵な歌があるんですよ。
    <a href="http://www.nhk.or.jp/shutoken/tabi/2009/0510.html" rel="nofollow">http://www.nhk.or.jp/shutoken/tabi/2009/0510.html</a>
    秀さんはまだまだ元気そうですから
    ウミガメのスープはまだ必要なさそうですね。

  • より:

    ロンマンチックな歌ですが、なぜかみんみんさんとは
    違和感がありますねぇ・・・・・
    「レモン林の暗がりで 盗んだブタマン食べていたら
    隣の爺さんに ションベンかけられた・・」
    って感じでしょうかね。

  • みんみん(♂) より:

    ふんだ、まったく失礼な。
    “レモン林でアザラシ体型の愛人といちゃいちゃしたら
    娘に見つかり蔑まれ「不潔」「ばっちい」「くさい」と言われた”
    秀さんの家庭生活が垣間見得るような、
    なかなかリアルな詞ができました。

  • より:

    相変わらず想像力だけは逞しいですね。
    みんみん家と違って我が家は至って平穏無事なんですから・・・・

  • みんみん(♂) より:

    だって「パンツを一緒に洗ってもらえない」って
    こないだ嘆いてたじゃないですか。
    W杯のときは「起きてこないで」って言われたし。
    ああかわいそう。

  • より:

    あのですね、パンツを洗ってもらえないのでは?って
    私がみんみんさんにきいたのですよ!
    「起きてこないで」って言われたのは、私が起きて
    テレビ観たとたんに点が入ったからですってば!
    勝手に話作らないで下さい。名誉毀損で訴えますよ。
    一人寂しく故郷に里帰りした誰かさんとはちがいますからね。

  • みんみん(♂) より:

    そうでしたっけ?パンツの件。
    でもW杯の話はまちがってないじゃないですか。
    里帰りは休みがずれただけで、途中で合流してますってば。

  • より:

    休みがずれた?
    小さな行き違いは大事の前兆ですよ。
    人生経験の或る私からの忠告です。
    「真実は細部に宿っている」

  • みんみん(♂) より:

    はいはい、秀さんの「人生経験」からのお言葉なんですね。
    悪行の限りを尽くしてきた人生からしみ出た言葉ですから
    そりゃあ貴重だわ。

  • より:

    強がり言ってないで、早めに修復の手を打っておいたほうがいいですよぉ

  • みんみん(♂) より:

    そうなんですか、秀さんの家庭ではそんなことが…。
    それで、秀さんはどういう風にして修復したんですか?
    秀さんが土下座?

  • より:

    しっかりとメモしましたね!
    お礼は亀のルイベと「純米やたがらす」でいいです

  • より:

    海外旅行と、銀座一流レストランでの食事が一番利きましたね。

  • より:

    その上、座を取り持つのが上手で上品な老紳士を招待したら
    完璧ですね!

  • みんみん(♂) より:

    もしかして秀さんの家庭の危機って最近ですか?
    こないだ…。
    でも、「席を取り持つのが上手で上品な老紳士」って
    周囲にはいないんですけれども。

  • より:

    危険は日常に隠れているもんですよ。
    早く見つけて芽を摘み取る事が肝要です。
    上品な紳士は目の前にいるでしょ!
    百円の男じゃありませんって・・・・

  • みんみん(♂) より:

    目の前にはパソコンの画面しかないんですけど…。

  • より:

    えーとじゃ、オトナ3人と子供1人で予約しときましょうか?
    銀座だったら「ロオジェ」?それとも寿司にします?

  • みんみん(♂) より:

    ですから、「上品な紳士」がいませんってば。

  • より:

    ケチっちゃダメですよ、こう言うときは。
    見栄を思いっきり張るのが大事です。

  • みんみん(♂) より:

    だからその「上品な老紳士」って誰ですか。

  • より:

    みんみんさんの知人で紳士って私以外います?

  • みんみん(♂) より:

    秀さん以外ならいっぱいいいますが。

  • より:

    そうですか、残念でしたね。
    せっかく奢ってあげようと思っていたのに・・・・・
    同席は断念いたします。

  • みんみん(♂) より:

    紳士だってホメであげても
    どうせおごるつもりなんかなかったくせに…。

  • <strong>【ねごと。】 軍艦島。 その1</strong>

    &nbsp;軍艦島に行ってきました。 &nbsp; &nbsp;…

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