もう久しく「山頭火」には行っていませんが、それでも “あ、山頭火そのままだ” とはっきりわかるほど同じ特徴を持っているスープです。
それもそのはず。のれんの片隅には「贈 山頭火本店」の文字が。
山頭火で修行したのち、この店を開くときにもらったものなのでしょう。
とんこつベースでありながら臭みがなく、まろやかでコクのあるスープ。クリーミーというかミルクのようなというか、「山桜桃」にも通じる旭川のとんこつ独特のおいしさが満ちています。
麺は細くちょっとかための縮れ麺。ただ、縮れていると言ってもくしゃくしゃではなく、よじれて曲がった、と言った方が正確な感じ。歯ごたえはちょっと硬めでぶつっといった感じで切れる麺で、小麦のうま味といったものよりも、いかにスープを絡めとってくるかという点に重点が置かれた感じ。
たしかに、このスープに麺までも味が濃いと、しつこく感じられるかもしれません。
店がある場所は、東急本店のすぐ裏。文化村通りの突きあたりの東急本店の角を左に折れ、拡幅中の道を100mちょっと歩いた右。
かちっとしたたたずまいの店ですが、外から店内をうかがうことができず、また以前は店頭に何も掲げていなかったためにどんなラーメンを出すのかもわからないために、私もずっと遠巻きにしながら眺めるだけでした。
なにか一見の客を拒むような、そんな雰囲気を持ったこの店に安心して入れるようになったのは、のれんの「贈 山頭火本店」の文字を見つけてからです。
ラーメンはオリジナルの「しお」に「しょうゆ」「みそ」の3種類のスープに「つけめん」も用意されていますが、サイドメニューで特筆すべきが「玉子かけごはん」。
生卵の黄身とチャーシューのかけらと鰹節を、小さな茶わんに盛ったほかほかのごはんに乗せ、たれをかけただけですが、たれがなかなか絶妙に甘辛くいい味を作り上げています。
ラーメンと一緒に注文すると、この玉子かけごはんが少し先に出てきますが、食べ始めてしまうと止まらず、ラーメンが来ても延々と玉子かけごはんを食べ続けてしまうほど。
これは単品としても食べたい一品。茶わんで200円のこの大きさとは別に、単品で600円の丼でも出してくれればぜひ頼んでみたい一品です。…途中で吐くかもしれませんが。
なお「みそらーめん」は、いわゆる札幌ラーメンの “おらおら~味噌だ味噌だ味噌だ~” というようなこってりとした赤っぽい味噌ではなく、白っぽい味噌。オリジナル(しお)のとんこつのうま味を消すことなく、いい塩梅で調和していて飽きがこない味となっています。
博多をはじめ、とんこつ全般に逆風が吹くなかですが、一風変わった甘くてこってりしたまろやかな味わいのスープは一度食べてみる価値はあります。
ぜひ絶妙の玉子かけごはんとともにどうぞ。
「風来居」(渋谷・ラーメン)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13020303/