すさまじい量です。この「五目カタヤキそば」。
一緒に写っているコショウの瓶の大きさと比べるとその巨大さがわかると思います。
直径30㎝はあろうかという大きな皿に、15㎝の高さで盛りられた麺。そしてことごとく覆い尽くす餡。キャベツともやし、にんじんなどの野菜にたくさんのキクラゲ、鳴門がアクセントをつけ、頂上には小さめのゆで卵が鎮座しています。もちろん肉もちゃんと。
初めて見たら思わず声をあげずにはいられない、そんな迫力を持った一品です。
ただ、揚げたそばの中には大きな空間がありますから実際に食べてみると量そのものはそこまで圧倒的ではありません。少々塩味が強めではありますが、野菜をしっかり食べられるという意味ではちょっとはヘルシーです。(あくまで量の割には、ですが。)
とにかくこの店の料理は、洗面器ほどもあるラーメンの丼に象徴される圧倒的な量が売り。
店の場所は渋谷駅の南の国道246号線を越え、さらに歩いて8分ほどの場所。山手線の線路に面した通りにある、小さな個人経営の中国料理店です。
店としての場所はさほど良くない場所ながら、昼時はほぼ満杯。量からして野郎ばっかり、しかも肉体労働系かと思いきや、周辺のサラリーマンをはじめ意外にも若い女性だけのグループも。山手線に面して並ぶ専門学校の学生や、ここから意外に近い代官山に勤める人々なのでしょう。
中国料理、というかいわゆる「ニッポンのチューカ」はひと通り揃っていますが、観察していると意外にも多くのひとが注文するのが「トンカツ定食」「カツ丼」のたぐい。
運ばれていく「カツ丼」の姿に衝撃を受け、私もついつられて注文してみましたが、これがまた見た目以上のすさまじさ。なにしろまず、3合は確実にあるご飯が大きく深い丼に詰め込まれ、さらに溢れんばかりに山を成しています。
それはまるで、山盛りの飯を無理やり食わせるという日光の奇祭「強飯式」のよう。毎年春の風物詩としてこのニュースが流れるたび「何が悲しゅうて無理やり飯を食わにゃならんのだ」と思っていましたが、まさにその気分が味わえるのです。
ただ、幸い(?)なのはこれにカツが乗っていること。たくさんの玉ねぎをだしで煮込み、卵でとじただけというシンプルさではありますが、肉がしっかりと味も厚みもあり、“修行”に彩りを添えてくれます。
各テーブルに置いてある壺のなかにある、日替わりの漬物(きゅうりの塩漬けやもやし炒めなど)を助けに完食すれば、そこには軽い達成感と重いお腹があなたを待っています。
とにかく、量。しかし味もなかなかしっかり。
興味があればぜひ、挑戦してみてください。がっかりはさせませんから。
「仙台や」(渋谷・中国料理)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13059598/