鳥藤といえばまずは親子丼ですが、変化球もまたおいしいものばかりです。
なかでもやっぱりおいしいのがぼんじり温玉丼。
その名のとおり、鶏の尾の付け根の部分の肉・ぼんじりをこれでもかとばかりに集めてご飯にぶっかけた丼です。
ぼんじりは一羽からふたつしか取れないと言いますから、それこそこの丼一杯に何十羽というお尻がひしめき合っているのです。
味つけは甘辛のこってり甘め。ぷよっとした食感によく合う味付けで、ご飯が進みます。温泉卵は途中から崩してかき混ぜると変化がついてなおよし。
さすが鶏を知り尽くした店だけあります。
さて、親子丼とどんぶり界の人気を二分するものといえばかつ丼ですが、この店にもチキンカツ丼があり、これもなかなか捨てがたい味わい。
薄めの肉をカリッと香ばしく揚げてからだしをしみ込ませて卵でとじた通常のかつ丼スタイルではありますが、そこは親子丼で培われた絶妙の火加減が物を言い、そこらの豚のかつ丼を軽く凌駕する出来栄えとなっています。
個人的には親子丼よりもこちらが好みでしょうか。
また、夏の一時期を除いた季節メニューとして光るのが水炊き。
この店のキラーコンテンツである鶏のスープを存分に味わえ、なおかつ定食スタイルでの提供ということもあって気軽に味わえる一品。
たっぷりのスープに、骨付き肉とつくねもたっぷり入っていて、キャベツもいい甘さを醸し出してます。これで900円は安いと言えるでしょう。
これから寒くなる時期に、たびたびお世話になりそうなメニューです。
また、ここでは本店同様、鳥重の弁当の販売も行っており、昼どきなど行列をかいくぐって弁当を持ち帰る客がひっきりなしに訪れます。
鳥藤が生鮮肉・加工品だけでなく飲食店を営むようになった元祖的なメニューだけに、こってりした味付けの鳥重は冷めてもおいしく、築地土産にも喜ばれそうです。
なかには、歌舞伎座での鑑賞のお伴として、毎回楽しみにしている人もいるとか。
市場内に場内店ができ、それぞれ独自のメニューがあったりして競い合う、ふたつの鳥藤。
築地市場の豊洲移転まであと1年余りですが、その競演はまだまだ楽しみです。