ついこないだまで立ち食い寿司だった場所に、「博多食堂」というラーメン店ができました。
気になりつつも得体のしれない店のため、躊躇していましたが、勇気を振り絞って食べることに。
するとけっこうおいしいのです。
まろやかでコクがあり、うま味たっぷり。ちょっとだけ塩が多いかな。
ふと丼を見ると「濃麻呂」の文字が浮かび上がっています。
ここって、二子玉の店と関係があるんですか?
そう聞くと、主人らしきおじさんは厨房のお兄さんを指差し「実は関係がありまして、ラーメン作りに毎日、この人に来てもらってるんです」と。
そのお兄さんは「実は私は濃麻呂からきてるんです」と照れ笑い。
それ以上突っ込んでないので詳しい事情はもうひとつわかりませんでしたが、とにかく福岡に本店を置き、東京・二子玉川の店も本格博多ラーメンで有名な「博多濃麻呂(こくまろ)」が、渋谷でも味わえるようになったことは朗報です。
ここ数年、東京では急速に「とんこつ離れ」が進んでいますが、これは”行き過ぎたギトギト感”が原因。
東京で生き残るためには、とにかく印象を残さねばとばかりに脂でギトギトにし、辛さや塩辛さなどを強めインパクトだけを追い求めるような味を作りあげました。
それが飽きられてしまったのでしょう。
しかし本来の博多ラーメンはもっとあっさりしたもの。
「博多濃麻呂」はその正常進化として受け止められ、二子玉川の店は福岡出身の人間に高く評価されています。
その店の味が渋谷でも味わえるようになったことを喜ばずにはいられません。
店内のお品書きには「つけ麺 拒否」とあり、頼もしく感じます。
昨今のつけ麺ブームは単なる麺の量がいかに多いか、トッピングがいかに高く積み上げられているようにしか見えません。味よりも量を求める食べ物に成り下がりつつある気がします。
こうしたなかで、はっきりと「拒否」を打ち出す潔さには好感が持てます。
なおこの店はラーメンだけでなく、博多の郷土料理も充実しています。
その代表格が「がめ煮」。北部九州以外の地域では「筑前煮」と呼ばれる根菜類の煮物ですが、独特の甘さが九州人にとっては思い出の味。
まだそんなに数は出ないようですので、作り置きを温める形になりますが、よく味が染みてほろほろと崩れそうな煮込み具合もまたなつかしいものです。
そのほか豚バラ肉の串焼き(九州ではこれも”焼鳥”と言いますが)など、酒の肴には困りません。
おいしい博多ラーメンのほかにも、リーズナブルな九州の郷土料理を肴に酒を酌み交わすのも一興。
ぜひ一度足を運んでほしいオススメの店です。
「博多食堂」(渋谷・博多ラーメン)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13161572/